50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2023-10-22 ツアー

気心知れた仲間と出張業務というお話です。


都内の大企業の取締役会などに定期的に呼ばれていました。初めて担当したときが2017年10月で、そこで出会った通訳者と現在に至るまで長い付き合いになりました。

途中2020年からは私が直接受注している別の業務に引き込み、ほぼ毎回組むことになり、月に三回は顔を合わせるのが常態になります。


そして大企業の通訳業務そのものが2022年になくなり、一緒に仕事をするのは月に一度に減りました。しかし仕事の縁は不思議なもので、その通訳者が受注している業務の形態が変わって通訳者の増員が必要になり、私に声がかかりました。


この仕事で国内出張を集中的にすることになり、かつての「月に三回」時代以上にいっしょに仕事をすることになるから不思議なものです。

人との縁は思ってもみなかったように展開していくことがあります。まして日本語が関わる通訳業界では「巡り巡って」どこかで再会することはとても多い。

一度きりに思える出会いも大切にしようと思います。


たまにはうどんやそばも食べます。



2023-09-26 通訳者速成(再掲)

以前に書いた記事で恐縮です。少し誇張のある表現かもしれませんが、今でも考えていることはだいたい同じです。日本会議通訳者協会の「同時通訳グランプリ」で学生の部を聞くと日英共に言語の運用能力に不安をほとんど感じることがなく、「両言語に不自由がない」ことの重要さ・強さを感じます。

通訳者速成


幹事通訳者としてCDP 2023 Supply Chain Japan Summit 同時通訳業務を請け負いました。CDP Worldwide-Japan様、ありがとうございます。

 

2023-08-30 買い物がさえません

「これでよかろう」と思った買い物がうまく行かなかったお話です。


クラウドWiFi

自宅でオンライン通訳をするときの心配事は
・停電
・ネットワーク障害
ですね。停電対策としては光ファイバー通信のONUとPCのそれぞれが無停電装置を介して電源を取るようにしました。

2022-01-07 無停電電源導入

その次には通信回線の冗長化です。予備に無線WiFiを手配すれば外出時にも使えて便利だと思いました。少し調べて比較的新しい技術「クラウドWiFi」を試してみることにしました。

残念ながら端末が家に届いて1時間で解約・返品を決断せざるを得ませんでした。通信速度がひとけた前半MPBSで、それも不安定です。地域によってそうしたこともあるようなので、解約・返品の手続きはとても簡単でした。


モバイル WiMAX
次に試したのがすでに定評ある モバイルWiMAX です。事業者の対応地図を見ると自宅は5Gの圏外ですが4Gの域内となっています。

ところが…。

火曜の夜に測定したら下り(download)10MBPS、上り(upload)8MBPSとかなりの低速でした。

こうしたときに困るのが原因の特定です。
・住居(アンテナから遠い・1局のカバー域内に利用者が多い)
・端末そのもの(ハードウェア)
・端末の設定
のどれなのかで対応が変わってきます。

とりあえず場所を移して速度を測定してからどうするか決めようと思います。

※ 水曜の朝に機器の場所を移したらそれぞれ 30MBPSと20MBPS。電波の入りが影響しているようです。


マイクロフォン用USBインターフェイス

ダイナミックマイクのXLRコネクタ(キャノンコネクタ)にケーブルなしで直接接続するUSBインターフェイスです。マイクアンプと A/D 変換ですね。

Shure
X2U XLR-to-USB シグナルアダプター
を購入しました。現在はShureダイナミックマイク BETA 57A を behringer XENYX302USB というUSBオーディオインターフェイスを介してPCに接続しています。XENYX302USB のマイクゲインを最大にしていますので、もう少しマイクゲインを取れるほうが良いだろうと考えました。

ところが…。

X2U を使うと音量は十分に大きくできるのですが、ホワイトノイズ(サー)が入ります。X2U を使った音と XENYX302USB を使った音とを録音して比較しましたが、X2U では雑音が乗り、音質の改善も見られませんでした。私の環境では安価なオーディオインターフェイスのほうが優れているという結果になりました。


クラウドWiFiWiMAX、マイク直付けA/Dコンバーターと3つの出費ですべて裏目という残念なことに…。

ま、いっか。


インド南部ケーララ州出身のみなさんと「オーナム」という年間で最も重要な祭りで食べる「サディヤ」という特別料理を作って食べました。品目は28。写真に写っていない料理もあります。

 

2023-07-30 パレートの法則

データを取得して観察すると直感を裏付けることも裏切ることもあるというお話です。


企業勤務時代に会計や人事を担当したのでエクセルはよく使っていました。余談ながら初めて使った表計算ソフトは IBM 5550 シリーズで使った Microsoft Multiplan(マルチプラン)でした。市場シェアの点で Multiplan は Lotus 1-2-3 に完敗でしたが、それをバネに Excel が生まれて 1-2-3 を駆逐したので商品戦略とは不思議なものです。


フリーランス通訳者になって業務を請け負うたびにエクセルに記録をしていきました。少しずつ改良し、以下の項目を管理しています。

  • 照会のあった日
  • 確定した日
  • 発注者
  • 通訳ユーザー(元のクライアント)
  • 件名
  • 内容
  • 業界区分
  • 通訳形式
  • 場所・時間
  • 半日/全日区分
  • 通訳報酬(総額)
  • 他の通訳者を動員したとき・機器類の外注額
  • 正味通訳報酬(総額-外注額)
  • 各種手当(拘束料・日当)
  • 各種実費(交通費等)
  • 消費税額
  • 源泉税額
  • 口座入金予定額
  • 入金日
  • パートナー通訳者名

ピボット集計を使って発注者別・月別の統計をグラフで示しています。どこからどんな仕事をいつごろ請け負って、それがどれだけ収益を生んでいるかがよくわかります。また、会計帳簿の売上額や消費税額、源泉税額、売掛金の元データとして使っているので、年度が終わるとエクセル表も会計帳簿も完成し、数字が事実を反映していることを確認できます。確定申告は着手から申告書の送信まで3時間程度で終わります。


照会がある都度データを更新するのでリアルタイムでいろいろな傾向が見えてきました。

  • 年間最高売上客先は年度で入れ替わる
  • 大きな客先を通訳事業撤退等で失っても必ず他の客先が補完する
  • 年間売上額の80%は上位20%の客先がもたらす(パレートの法則
  • リピート受注の収益効果は大きい(準備も楽)
  • リリース率(案件不成立率)は客先ごとに傾向がある
  • 1月から12月まで照会数は十分で、物理的上限まで引き受けると毎月の売上はほとんど同じになる(営業日数の関係で1・5・8・12月がわずかに少ない)
  • 「繁忙期」の意味は「照会があったときに断る数が増える時期」のこと


時系列の変化を追えること、客先別の売掛金が常時わかること、確定申告が楽なことから事務作業の見返りは十分だと感じています。


横浜市泉区仕様です。これに慣れると都心のベトナム料理店の香草は少し少ないかな、と感じます。



2023-07-17 日本通訳フォーラム2023

今年も一般社団法人日本会議通訳者協会が主催する「日本通訳フォーラム」開催が近づいてきました。

2020年新型コロナウイルス流行で対面の各種行事がなくなったときにオンラインで開催したのが大きな転機になりました。自然にやりとりが生まれて思いもかけない関係が築ける対面ならではの「場の力」がない代わりに物理的距離や時間(時差)を越えて前年とは比較にならない参加者数を記録しました。

この年と 2021年、2022年の3回は「日本通訳翻訳フォーラム」という名称で翻訳関係の講演やワークショップも多数取り上げて翻訳者の参加も急増、オンデマンド再配信といったオンライン開催の強さを感じました。


翻訳関係の行事が多く再開している今年は「日本通訳フォーラム」の名に戻して実施します。翻訳を手掛けるみなさんとのすばらしい縁は生き続けて翻訳関連のセッションも多数あります。


日本会議通訳者協会「特別功労賞」の今年の受賞者長井鞠子さんの特別講演「通訳者に伝えたい『伝える極意』」もぜひお楽しみに。

www.japan-interpreters.org

 

2023-05-28 社内通訳者に近いことも

フリーランスでもときには社内通訳者のような働き方もするというお話です。


2022年の中頃からとあるプロジェクトの通訳を定期的に引き受けています。年間で合計すると客先別売上で最大になるほどです。2014年に通訳業を始めたときも夏から3年程度プロジェクト(2022年とは違います)でずいぶん稼働しました。

2019年にも別の顧客でやはりプロジェクトで通訳。

顧客としては派遣社員を雇用するほど経常的に通訳業務はないが、毎回違う通訳者が来るようだと顧客・通訳者双方の慣れの問題もある。プロジェクト会議の予定がある程度判明したらまとまった日程で同じ通訳者を確保する合理性があるわけです。


通訳者にとっても全く新しいことが毎回出てくることはないので準備もしやすく、会場に行ったり遠隔で接続したりするときもとまどうことがありません。周辺業務に変化が少ないとストレスはかなり下がることがよくわかりました。


こうした業務形態だと動きが少ないようですが、実は通訳の品質を向上させる動機はかなり強いのです。

  • 日程の都合で他の通訳者が入るときに比較される。お客さんが
    「あれ、ひょっとしていつもの通訳者よりいいかも」
    と思う可能性も当然ある。
  • 顧客は無意識に品質向上を当然のことと受け止める。だんだんと通訳サービスの価値に「小さなうれしい驚き」を見つけにくくなる。


通訳者の好みも様々で、新しい環境や業務内容に良い刺激を受ける人もいればプロジェクトを相当の期間担当して「チーム員と共に進む」感覚を好む人もいるでしょう。異なった種類の仕事を実際にしてみると自分が何を求めているか、何を快適と感じるかがだんだんとわかってくるように思います。


私の知る神奈川県横浜市




2023-05-26 あいかわらず需要は旺盛

日英通訳の需要が旺盛だというお話です。


今までの月間売上を高い順に並べるとこのようになりました。

2022-10
2023-04
2022-11
2023-02
2022-09
2023-03
2023-05
2022-12
2022-03
2021-03
2019-07
2019-10
2022-06
2023-01

2023年は今までの1~5月がすべて同月比では過去最高になっています。通訳専業になった日が 2014-03-05 なので約9年経過しましたが、2020年に新型コロナウイルス流行で大きく売上を下げてから上昇基調にあることがわかります。つまり私にとっての請負機会はまだ拡大しつつあるようです。おそらくこれからも今までしなかった仕事を経験するようになると思います。


以前に書いたように過去数年で年間で最も多く受託した客先はほぼ毎年入れ替わっています。何らかの事情である客先からの受注が減るとそれに代わって増えてくる客先が必ず出てきました。次はどんな出会いがあるかと楽しみです。


神奈川県大和市ベトナム料理店「aLo aLo」で豚肉と揚げ春巻き入りのブン(丸断面の米粉麺)。子供時代をベトナムで過ごしたこの店の経営者の経歴はぜひみなさんに読んでほしいと思います。

大和市国際化協会のニュースレター Pal 2021 Summer Edition