50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2022-11-27 先のことはなかなかわからない

主要顧客も変わっていく可能性があるというお話です。


私の客先別年間売り上げで2019年・2020年に2位・3位のお客さんとの取引が諸事情でなくなりました(不可抗力や合意の下でのお話で、不祥事や喧嘩別れではありません)。不思議なものでその翌年には他のお客さんへの売り上げが伸びて年間総額が前年を上回っています。

一喜一憂すべきではないことを学びました。

そして、今年急速に取引が増えているお客さんがあります。

取引を開始した2020年の額を100とすると、2022年は789まで増えて私にとって取引高第1位になっています。

2020年 100
2021年 148
2022年 789


昔に縁のあった方が転職した先で紹介してくれたエージェントです。第2位は同業者の集まりでステーキを食べているときに通訳者仲間が紹介してくれた会社。他の多くの仕事と同じで人と人とのつながりが思わぬ展開につながります。


やきそば二題。「王将」と「ルーフトップビアガーデン ヨコハマ」
どちらも予想を上回る美味しさでした。




2022-11-12 パレートの法則

通訳者も他の自営業者とおそらく同じで、少数の顧客に対する売り上げが全体の大部分を占めると思います。パレートの法則によれば

売り上げ全体の8割は2割の顧客からもたらされる

ということですが、私の場合今年取引のあった24の顧客のうち上位8件で売上の8割になっています。

上位3件で全体の半分になります。


いろいろな縁で仕事を引き受けるので取引先の数は多いほうではないかと思います。どの顧客も大切なのですが、その一方めったに受注のない顧客の予約があるために大口顧客の業務を引き受けられないこともありえます。そう考えると取引の量が将来増える可能性がない場合には新規顧客からの仕事を積極的に取らなくてもいいのかもしれません。

通訳者仲間からの依頼は別です。自分が引き受けられなくて困ったときにはお互いさま。


通訳需要が非常に旺盛な今、引き合いを断ることが多くなっています(1件の引き受けあたり5件ほど断わっています)。これは発注側・受注側の双方にあまりよいことではないですね。どの顧客からどの程度受注していくかという事業方針も考えたほうがいいのかもしれません。


たまには日本らしいものも食べてます。

 

2022-10-17 Laggards(遅滞層)

マーケティングの用語でよく知られている E. Rogers 教授提唱の「イノベーター理論」。新商品を買う際の消費者を行動別に5つに分けています。

  1. イノベーター なければ自分で作ってしまう層
  2. アーリーアダプター 流行に敏感で情報を集めて試す層
  3. アーリーマジョリティ 平均よりは早く導入する層
  4. レイトマジョリティ 様子見をしてから導入する層
  5. ラガード 新商品が主流になってから導入する層

私の場合、コンピューターのOSは上記の2ですね。ベータテストが終わって正式ダウンロードが可能になるとすぐにインストールしてみます。主要アップデートも同様。Windows11 の 22H2 もすでに適用しています。

いっぽうでPHSから折り畳み式の携帯電話に切り替えたのが2014年8月、スマートフォンに替えたのが2020年3月と、電話についてはラガードもいいところです。

外部事情による必然性が生じてようやく電話の変更をしています。出張先の作業地でPHSの電波が届かないところがあったので携帯電話に移行。新型コロナウイルスの流行で在宅電話会議の注文を受けてからあわててスマートフォンに移行です(持っていた携帯電話にヘッドセットジャックがなかった)。

スマートフォンの契約は危ういところでした。店で即日受取の翌日からコロナ対策で店舗が一時営業停止。その電話を使った業務は翌日でした。


そしてスマートフォンを使い始めてから2年半してようやく Google カレンダーを使い始めました。これも外的要因がきっかけです。紙の手帳を駅に落としてしまい青ざめました。仕事の予定がわからくなります。仕事の照会が来てもその日が空いているかがわかりません。幸い数時間のうちに駅の改札で受け取ることができました(JR東の遺失物の登録が迅速で助かりました。遺失物事務所に行ったら係員が端末で照会して「まだ改札事務所にあります」と教えてくれました)。


通訳者仲間が半ば呆れてオンラインカレンダーを勧めてくれました。クラウドデータが失われたりアクセスできなくなるリスクよりも紙の手帳を失った場合のリスクが大きいことにようやく気付きました。

Google カレンダーの最大の利点はデバイススマートフォンやPC)が故障したり紛失したりしても別のデバイスで同じデータを見ることができる点ですね(何をいまさら…)。しかし使ってみると予定の記述に集合場所を Google Map のリンクで示したり、エージェント担当者のメールアドレスを張り付けたりとかなり便利なことがわかりました。


PDFにタブレット用のペンでノートを取ったり遠隔通訳用のマイクやイヤフォンを使う様子は現場やソーシャルメディアの投稿でわかりますが、他人の日程管理はなかなか見る機会がないので自分が取り残されているのに気づきませんでした。


今年も実を付けました。



2022-10-16 通訳サービス市場

市場としての効率は良くないながらも、通訳者にとってはそれなりに機能しているというお話です。


通訳手配の仕事は外部から見るとずいぶん非効率かもしれません。

  1. 通訳を使いたい人 (A) が通訳手配会社 (B) に見積もりを依頼
  2. 見積もるからには受注の可能性があるので B は通訳者 (C) に仮発注(優先権の確保)
  3. C が「その日は空いていない」と回答すれば他の通訳者に打診
  4. ここまでですでにメールの総数は 10 を簡単に超える
  5. A の日程が変わったり C に別の引き合いがあったりすると B は大忙しとなる。A にも C にもその他の通訳者にも連絡をする
  6. A が別の通訳手配会社にも見積もりを依頼していて価格や提案で B が負けるときもある
  7. C もB からの仮発注がなくなれば別の通訳手配会社に「この日が空きました」と伝えて仕事を確保しようとする

といった具合です。公開で公平な市場にはこうした「自由なゆえに非効率」という側面がありますね。


通訳者にとって良い面もあります。会社勤務ではいまだに色濃い各種の差別(国籍・容姿・学歴・年齢・長時間拘束の可否)がほとんどありません。顧客の期待に応えていればそれなりに評価され、積極的に宣伝しなくても仕事は向こうからやってきます。直接かかわる関係者、つまり

  • 顧客(通訳を使う人・組織)
  • 通訳手配会社
  • 仲間の通訳者

の期待を裏切らないようにしてさえいれば生き残れます。期待を上回れば通訳者が望む仕事や報酬が得られる確率は高くなります。そして、通訳者報酬の相場は投入する時間や労力に対して低くはありません(低報酬や悪条件のために業界から抜け出そうとする通訳者は少ない)。

注意が必要なのは、通訳手配会社が主な顧客の場合は仕事の量を「ほどほどにする」のは簡単ではないことです。発注側にとって依頼すれば引き受けてくれる通訳者はありがたい存在です。ですから、忙しい通訳者の名前は通訳手配担当(コーディネイター)の記憶に残りやすく、通訳ユーザーからの苦情がない「安全で頼りになる通訳者」を引き続き起用しようとする強い動機が生まれます。

仕事量を抑えるなら、通訳手配会社との相互信頼関係が重要でしょう。通訳者の事情を理解して「少な目に継続して発注」してくれるようになればすばらしいと思います。


自宅で画面を見ながらの遠隔通訳とは違う世界。

 

2022-10-02 過熱する市場

通訳業界は新たな段階に入りつつあるというお話です。


フリーランス通訳者としてこれといった営業活動を行わずに受け身で仕事を請け負ってきました。今年2022年9月末までに翌10月の平日すべてに何らかの仕事が入ることがほぼ決まりました。月が始まる前にこうなったのは初めてです。

日程に戦略的に「空きを作る」ことをせずに照会のあった業務から引き受けていった結果です。自営で通訳業をするようになってからずっと
「仕事が来るのはたいへんありがたいこと」
「まだ自分の適性もはっきりしないから、着た順に引き受けよう」
という方針で仕事をしてきました。今までこの方針であまり困ったことはなかったのです。


しかし、新型コロナウイルスの流行でいろいろと変化が生じつつあります。なんといっても遠隔通訳が日常のことになり、企業でも官庁でも会議の設定が「機動的」になりました。人が物理的に動かないのですから当然ですね。私の「肌感覚」だと通訳を必要とする会議や講演の総数は増えています(日英)。

その結果、通訳者の「売り切れ現象」が生じているようです。通訳者仲間に尋ねると業務1件を引き受けると同じ日の引き合い複数件を断ることが常態化しています。


通訳者としてどのような仕事をしたいのか、どのように働きたいのかを考える時期が私にも来たと感じています。高報酬で得意な分野を優先するだけでよいのか。経験したことのない分野を引き受けて知見を広めるのはどのくらい大切なのか。自分で決めないと外部に決められてしまいます。


神奈川県綾瀬市藤沢市にはイスラム教徒が経営するスリランカ料理店がいくつかあります。スリランカ料理店のさきがけとなった「シナモンガーデン」「ロイヤルグリーン」「キングライオン」とは料理の提供のしかたがかなり違っていると思います。写真は「Easy Day」(藤沢市用田)のライス&カリー。店の雰囲気はスリランカのバスターミナル脇や工業団地の食堂みたいな…。

 

2022-09-25 巡り巡って

とある大手通訳手配会社に対する売り上げが大きく伸び、私にとってのシェアが昨年の7位から2位に急上昇しました。この顧客との縁はちょっと変わったものでした。


通訳の仕事を始めたときから、大手なのでゆくゆくはどこかで接点があるかもしれないと思いつつ6年が経過しました。通訳者から特に接触する必要もないだろうと考え、縁があるのをゆっくり待とうと思っていました。


そうしたときに、別の仕事でお世話になった顧客の関係者が
「通訳の仕事を頼むかもしれない。そのときにはこのエージェントを介することになるだろう。登録しておいてください」
と伝えてきました。

登録した年とその翌年の業務依頼回数はごく少ないものでした。しかし、私が比較的得意とする種類の業務をきっかけに定期的な受注につながり、様々な分野の依頼を受けるようになりました。今年(2022年)の1~9月で私の総受注額の18%へと急増しています(昨年は5%)。


以前にも書きましたが、取引高一位の顧客は通訳者仲間にステーキハウスで引き合わせてもらった企業です。二位は今回書いたように以前の仕事の縁で紹介を受けた会社。


細い糸のような縁が、やがて太い綱になったような感じがします。


西新宿アイランドタワーの半地下にある「ナワブダイニングカフェ」で通訳者仲間と打合せ。羊丸焼きの準備が進んでいました。一次ローストが終わり、ヨーグルトに混ぜた香辛料を塗り終わったところのようです。私たちは Karachi Thali という「大人のお子様ランチ」みたいな楽しい盛り合わせにしました。ブログ読者のみなさんともぜひご一緒したいと思います。

 

 

2022-09-18 変わるもの・変わらないもの

今年の8月は営業日数が他の月よりも少ないにもかかわらず業務の数はかなり多くなりました。仕事のあった日数は17、件数は27です。毎週の仕事を二種類受託し、同じ日に前後して仕事をすることが続きました。

8月が終わりに近づいても9月の予約の出足が鈍かったのですが、9月になってから照会が相次いで月間受注額は開業以来最大の見込みです(件数は32件で、おそらく歴代3位くらい)。


仕事の内容は政府、製造業、IT、その他いろいろで全体的な傾向はあまり変わっていません。実施方法は遠隔が多いながらも現地を訪問することも増え、連続宿泊の出張を1年ぶりに担当しました。


外国の顧客はこれまでは縁のあった直接の取引先だけだったのですが、いわゆる世界規模同時通訳プラットフォーム(KUDOやInteractioなど)の仕事を今年から少し引き受けています。今後この方面の受託を増やすかはしばらく経験してからの判断になるでしょう。現在のところ外国顧客への売り上げは11%(金額)です。


少なくとも私の周辺では通訳サービスの需要は非常に旺盛です。新型コロナウイルス流行前の2019年と同様またはそれ以上で、過熱気味ともいえそうです。仲間の通訳者と
「通訳の学習を志す人にはそろそろ『仕事はたくさんあるから大丈夫』って言ってもいいかもしれない」
という話をしていました。


外に出る仕事があると、用務地周辺の南アジア料理店に入ってしまいます。
港区虎ノ門の「南インドキッチン虎ノ門店」の菜食ミールス
インタースクール東京校に通う人はぜひお試しください。

渋谷区の「アーンドラダイニング渋谷」の肉入りミールス
右側の白いのはチキンシチューです。さすがアーンドラグループ、よいまとまりです。

これは仕事以外で。神奈川県綾瀬市の「アイシャキッチン」で金曜に出る「ランプライス」です。イスラム教徒の店なので金曜の礼拝の後に大人数に一気に配れるようにバナナの葉でくるんで蒸す弁当スタイルです。くっきりした味付けでとてもおいしい。