50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2023-07-30 パレートの法則

データを取得して観察すると直感を裏付けることも裏切ることもあるというお話です。


企業勤務時代に会計や人事を担当したのでエクセルはよく使っていました。余談ながら初めて使った表計算ソフトは IBM 5550 シリーズで使った Microsoft Multiplan(マルチプラン)でした。市場シェアの点で Multiplan は Lotus 1-2-3 に完敗でしたが、それをバネに Excel が生まれて 1-2-3 を駆逐したので商品戦略とは不思議なものです。


フリーランス通訳者になって業務を請け負うたびにエクセルに記録をしていきました。少しずつ改良し、以下の項目を管理しています。

  • 照会のあった日
  • 確定した日
  • 発注者
  • 通訳ユーザー(元のクライアント)
  • 件名
  • 内容
  • 業界区分
  • 通訳形式
  • 場所・時間
  • 半日/全日区分
  • 通訳報酬(総額)
  • 他の通訳者を動員したとき・機器類の外注額
  • 正味通訳報酬(総額-外注額)
  • 各種手当(拘束料・日当)
  • 各種実費(交通費等)
  • 消費税額
  • 源泉税額
  • 口座入金予定額
  • 入金日
  • パートナー通訳者名

ピボット集計を使って発注者別・月別の統計をグラフで示しています。どこからどんな仕事をいつごろ請け負って、それがどれだけ収益を生んでいるかがよくわかります。また、会計帳簿の売上額や消費税額、源泉税額、売掛金の元データとして使っているので、年度が終わるとエクセル表も会計帳簿も完成し、数字が事実を反映していることを確認できます。確定申告は着手から申告書の送信まで3時間程度で終わります。


照会がある都度データを更新するのでリアルタイムでいろいろな傾向が見えてきました。

  • 年間最高売上客先は年度で入れ替わる
  • 大きな客先を通訳事業撤退等で失っても必ず他の客先が補完する
  • 年間売上額の80%は上位20%の客先がもたらす(パレートの法則
  • リピート受注の収益効果は大きい(準備も楽)
  • リリース率(案件不成立率)は客先ごとに傾向がある
  • 1月から12月まで照会数は十分で、物理的上限まで引き受けると毎月の売上はほとんど同じになる(営業日数の関係で1・5・8・12月がわずかに少ない)
  • 「繁忙期」の意味は「照会があったときに断る数が増える時期」のこと


時系列の変化を追えること、客先別の売掛金が常時わかること、確定申告が楽なことから事務作業の見返りは十分だと感じています。


横浜市泉区仕様です。これに慣れると都心のベトナム料理店の香草は少し少ないかな、と感じます。