10年後・20年後には機械翻訳や機械通訳がどうなっているでしょうか。
技術の予言って、本当に当たらないですね。
1970年代の子供向けの本には車輪がない自動車(空気を噴射して浮上)や火星基地の想像図がありましたが、パーソナルコンピュータや携帯電話の姿はありませんでした。
スペースシャトルやコンコルドは注目を集めましたが、消えていきました。
将来を考えるときも、現在の想像力の限界に強く縛られるのですね。
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機械通訳・翻訳はどうでしょうか。デジタルオーディオやデジタル写真のように
「とても実用にならない」
「まだまだ実力不足」
と言われていたのが数年の間に主流になるかもしれません。
それとも、人間の言語活動は込み入っていてうまくいかないかもしれません。
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チェスや将棋でコンピューターが人間に勝ったときにはかなり話題になります。
「この分野では機械に負けたくない」
「これは人間だけができる」
と思いたい気持ちも裏にあるようです。
オートバイのほうが自転車より速く、クレーンのほうが重量挙げ選手よりも強力です。チェスや将棋、囲碁でコンピューターが勝つのも同じこと。道具は人間の力を倍増し、可能性を広げるのです。
米国の医療産業ではチャート(カルテ)を自動的に生成する(文章を作成する)ソフトウェアが実用になっているそうです(ラジオニュースで取り上げられていました)。定型的文章(株主総会議事録等)は機械が作る時代が来るかもしれません。
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通訳は翻訳と違って
「現場にいないとできない」
ことが競争優位になると私は考えていました。たまたま首都圏に住んでいることがそれだけで有利というわけです。
これもいつまで続くかわかりません。遠隔会議(video conference)はまだ黎明期ですが、それでも「地上の会議」と「オンライン・電話会議」との役割分担が決まってきた企業も少なくありません。
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通訳・翻訳に限らず、これから専門職をめざす方々は一歩引いて時代の流れを見る必要もあろうかと思います。