50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2024-10-23 日英通訳のプチバブル

日英通訳の引き合いが多いというお話です。


仕事(首都圏の日英)でご一緒する通訳者にいつも同じ質問をしています。
「仕事の打診は多いですか」
全員が
「大変多い」
とおっしゃいます。同じ日の業務の問い合わせが3件くらいあるのはごく普通のことになっています。通訳者を手配しようとしたがかなわず、本来通訳付きの会議や面談が通訳なしで実施ということも増えているそうです。


新型コロナウイルス流行で人が集まれなくなり、通訳需要は一時大きく落ち込みました。通訳者によっては月間売上がそれまでの10分の1ということもありました。しかし1年も待たずして遠隔会議・遠隔通訳が増加し、私の担当する範囲では2020年9月くらいから通訳需要がかなり力強い回復を示しました。

2023年になると人の往来も増加して従来型の通訳業務も再開します。いっぽう遠隔通訳が減る気配はありません。それまで遠隔会議を使っていなかった企業も手軽に設定するようになり、会議の「モーダルシフト」が起こったようです。


昨年2023年から通訳エージェントのは通訳者確保が難しくなったようで、会議日直前の問い合わせも増えています。遠隔会議が日常のものとなり、交通や宿泊を考える必要がないので会議の準備が「お手軽化」したことも原因の一つだろうと思います。電子会議室の案内を送信して、
「あ、そういえば通訳者も必要だ」
と気づいて問い合わせているのではないかと想像します。


通訳者の側にも変化がありました。

  • 引き受けようと思えば業務は物理的上限まで詰め込めるので、準備時間や自分の通訳キャリア、心身の具合、仕事以外の時間の確保をいままで以上に考える必要がある。
  • かつてから進出したかった分野に手を出す機会でもある。「玉突き現象」で様々な場面で通訳者が不足するので、入り込むすきまも見えてくる。
  • 通訳報酬の改定がしやすくなる。首都圏の日英通訳に限っていえば市場原理が機能しているようで、高報酬への静かな流れが始まっている。現在の顧客の予算が限られているなら別の顧客へ、という動きも可能。


これが一時的なものか、それともしばらく続くのかはわかりません。大きく冷え込むとしたら金融市場の大きな変化がきっかけになると思います。または企業業績の大きな落ち込み。新型コロナでは会議をする予算があったために短い時間で遠隔に移行しました。2007-9年の世界金融危機では会議予算・通訳予算が大幅に削減されて通訳業界が冷え込みました。歴史は違った形で繰り返すといいます。


南インド料理、ちゃんと食べてます。
横浜市緑区の「ルシ インドビリヤニ」。支店が蒲田にあります。写真は週末特製ランチ。ビリヤニに各種カレーも付く「全部乗せ」的な提供です。


山梨県甲府市善光寺の「サガルラトナ」は地域の人に愛されているようです。目玉焼きにびっくり。