50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2024-07-05 さらに需要が高まる

対面での通訳場面が増加するいっぽう、オンライン会議での通訳提供も全く減る気配がないというお話です。


通訳の仕事で他の通訳者と組むときに次の質問をしています。
「お忙しいですか」
「昨年と比べて今年の業務照会(引き合い)件数はどんな感じですか」

全員が
「ものすごく忙しい」
「引き受けようと思えば平日はすべて埋まる勢い」
「以前の『繁忙期』という概念は消失して、1月4日から12月31日までが繁忙期」
という回答が返ってきます。

私も同様の経験をしています。※ 首都圏在住の日英通訳者の状況です


たとえば2024年6月。前月の5月時点では予約がさほど多くなく、前年同月を下回るか、うまくいって前年並と思っていました。ところが6月に入ってから予定がどんどん埋まり、結果として月間売上では過去最高となりました。ちなみに過去の月間売上の順位はこんな具合です。
1.2024年06月
2.2023年09月
3.2023年08月
4.2022年10月
5.2023年04月

2024年の累計でも6月までで過去最高となり、昨年と同様に秋になって照会件数が増えるとけっこうたいへんなことになりそうです。


需要が増加しているのを反映して通訳者の手配がかなり困難になっているようです。「手配不調」、すなわち通訳者を手配しようとしても見当たらず、通訳なしで会議をすることも起きているようです。諸物価値上げ、企業が支払う給与引き上げという背景もあり、通訳報酬の引き上げ交渉で通訳者の言い分が通る割合が高くなっているようです。以前はなかなか難しそうだった利益(確定申告書の「所得金額等」)2,000万円超えを実現する通訳者も増えそうな予感がします。

これが一過性のものなのか、バブルとしてはじけるのか、それともしばらく続くのかはわかりません。コロナウイルス流行の初期では少なくとも通訳需要と通訳予算は存在したので通訳の実施方法があればすぐに需要が回復しました。今後影響があるとすれば経済の減速が原因となるはずです。世界金融危機のように急激に起こるのか、ゆっくりと減速していくのかはわかりません。アナリスト、エコノミスト、投資家がいろいろ予測しても外れるのが経済見通し。通訳者にできることは何なのでしょう。


同時通訳を定期的に担当し始めた思い出の場所


仕事中にこういう発言がないことを祈ります