同じ物理的空間で仕事をする良さのお話です。
▼
新型コロナ肺炎の流行で通訳業務が一時的に急減したときには遠隔通訳に本当に救われました。従来の現場での通訳にはなかった可能性も開かれたと思います。スライドの共有が画面で通訳者にもはっきりと見えたり、お客さんが適切な備品を使えば聞こえてくる音声が非常に鮮明になったりしました。
▼
2023年、2024年になって対面業務が新型コロナ流行の前の水準、あるいはそれ以上まで増加しました。現場に出てみると以前にはあまり意識しなかった
「同じ場所・同じ時間に他の通訳者と存在する」
ことの良さを再認識しました。
仕事前や休憩時間のちょっとした話がこれだけ貴重なものとは思いませんでした。遠隔通訳でお客さんが準備した回線では原則として通訳者相互は話せませんし、通訳者相互連絡の回線があっても相手の姿を目の前に見たときのような自然発生的なやりとりが起こる機会は少ないように思います。
現場であれば、たとえばPCの背景画面の写真から話が始まったり(以前住んでいた場所や犬、猫など)、使っているソフトウェアを教えてもらったり、あるいは小物(イヤフォン、タイマー、バッグなど)もきっかけになります。
相手が話題にどれだけ関心を示すかも伝わりやすいので遠隔よりも気楽です。
▼
しばらく前に組んだ通訳者との再会が最近何度か続きました。通訳やそれ以外のことでずいぶんと話ができ、仲間たちの考えの深さや苦労、努力を知って自分にとって励みとなりました。
「我以外皆我師」という言葉が伝えられていますが、これは対面業務のときに特に強く真実だと感じます。今後もまだまだ仕事を通じた出会いもあるでしょう。大きな楽しみです。
▼
先月の写真ですが、いつもの散歩道の折り返し点付近にて。