50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-05-15 文法とココロ

生まれたときから脳内にハードワイヤリング(配線)されてきた母語の文法。この壁を乗り越えるのは大変ですね。

日本語が得意な外国人が書いた日本語を読んで、
「わかるし、間違いでもないけど、私たちはそうは書かない(言わない)」
と感じたことは皆さんも多いと思います。

私が日英通訳で発する英語もそうなんだろうな…。

嘆いていてもしかたがないので、少しずつでも「普通の言い方」に「寄せていく」努力を続けるしかないですね。


こんなことを思ったのも、日本語に存在しない(西欧言語での)冠詞・時制で毎日のように
「ふーむ、そうなのか」
と感じてばかりからです。原則はあるのでしょうけど、
「ルールを憶えればハイ!OK」
というものとは遠いですね。私たちの脳内にしっかり埋め込まれた日本語文法と同様に…。

テレビ番組で、外国人に差別的な言動をした人に対して居合わせた人が呼びかける場面がありました。

You're being discriminatory.
(それって、差別的じゃありませんか?)

You are discriminatory.
では、
「いつも差別的言動を取る人ですね」
という意味になり、初めて見かけた人に対する発言としては不自然なのでしょう。尊大な態度を取る大学生に対して教授が
You are being a jerk.
(君、それはないだろ)
と発言した例を思い出しました。

頭ではわかっているつもりでも、自分で you are being ... と言ったことはたぶんなかった気がします。そのうち口から自然に出る日が来るでしょうか。