英文を読んだり聞いたりして、ときどき a や the の使い方に感心するときがあります。日本語にない、なんとも不思議な役割を果たしていますね。文法書を見ると「限定(特定・共有)」「非限定」と説明していますが、何をもって「限定」なのか。英語とその背景となっている文化・歴史がかかわっていそうで簡単ではありません。
読む・聞くよりも、実際の会話の当事者になるとさらに a や the の印象が強く残ります。最近だと、米国人の友人と出かける際のやりとりでこんなことがありました。
A: Well, then, pick up C and go to X for dinner.
B: That sounds like a plan.
後半は
「うん、まあ、それでいいんじゃない」
という感じでしょうか。a plan … この世に一つの真実の the plan ではないし、あなたも知ってる例の the plan でもない。ひとまず行動計画らしいから a plan。他にも考えれば出てくるだろうから a plan。
「特定だから the が付くのではなく、特定として扱いたいから the を(意識して)付ける」
と聞いたことがあります。どうしたいか・どうとらえたかという話者の心の動きを反映するために冠詞や単数・複数を動員する。同じ人間として理解しあえるのに、言語がこんなに違うのは不思議なことです。