50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2020-11-08 短時間の逐次通訳

短時間の仕事に意外な利点があったというお話です。


遠隔で短時間の逐次通訳をする回数が増えました。会議参加者も遠隔で画面をのぞき込みながらの長時間の参加は疲れるのでしょう。

短時間だと発注側が半日料金以下を求めることもあります。私の立場は
「自分にとって良い条件なら引き受ける」
という主観的で柔軟な(いいかげんな)もの。業務が1時間だからといって一日料金の7分の1では健全とはいえません。いっぽう、資料を読む必要がない(何度も担当している定例会議やよく知っている業界・内容)では1時間の業務で半日料金を請求する合理性は揺らぎます。資料を読む必要がないくらい慣れている仕事はめったにありませんけど(社会保険関係や自分がかつて導入を担当したソフトウェアの通訳という超ピンポイントの仕事が数件あった程度です)。


短時間業務の意外な利点に気づきました。業務の後に自分の訳出をふりかえることがたやすいのです。「あのときのあの発言」をどう訳したかの記憶が鮮明で、改善の余地をしっかりと検討できます。会議全体を通じての流れも容易に思い出せるので文脈に適した訳語や表現を考える機会になります。

地上の会議室よりも遠隔のほうが顧客に通訳者の印象が強く残るようで、良い評価にしろそうでない評価にしろ「振れ幅」の大きい評価をもらえるように思います。初めての顧客から次回に指名を受けることが多くなりました。

ひょっとすると小学校6年生から高校生までアマチュア無線で交信していたことが助けになっているのかもしれません。雑音や混信の中から声を聞いて話を紡いでいく経験が40年後に少しでも役立っているのなら不思議なものです。


低予算型日本そばチェーンの「ゆで太郎」。意外にいけます。ゆで太郎の経営には2系統あるようで、ここはフランチャイズ展開の「ゆで太郎システム」の店。

f:id:shira-j:20201107192628j:plain

 

2020-11-07 書類の片づけ・年月

探し物が片付けへと変容していく、よくあるお話です。


資格試験の合格証をスキャンする必要がありました。ずっと同じところに保存していたのですぐに取り出せるはず…でした。

ない。

書類置き場を片付けることになってしまいました。問題の合格証はクリアファイルに大切に綴じ込んでありました。関連する書類とまとめていたのですね。

怪我の功名で片付けがはかどりました。以前に学習の素材にしようと保存していた資料にも再会してちょっと自分を責める気持ちになったり。
「すばらしい資料があるのに手を付けていなかった…」


なつかしいものとしてはインタースクール東京校(インターグループ経営の民間通訳養成機関)のプロ速成科を終了したときの修了生の声を掲載した同校の募集要項。ついこの間のことのようです。講師が配った受講にあたっての注意事項も出てきました。


時間の感じ方は不思議なもので、香港での勤務を終えた1990年頃のことは
「ついこのあいだの出来事」
のように感じるのに、通訳者を志してからの数年はゆっくりと過ぎた気がします。インタースクールの講師が言った

通訳でなんとか生計を立てて5年で仮免許、10年で一人前 

に従うと、私はまだ仮免許練習中。たしかにそのように思えます。例えば景気の変動による通訳業界の冷え込みを経験したかどうか。コロナウイルス流行で
「前年実績を大きく割り込む月が続く」
という経験を初めてしました。通訳業界にもっと長くいた人はSARSによる影響(2003年)や金融危機(2007-2009)を経験していて対応も私とは自ずと違ってきます。


イヤフォンジャックにプラグがさせなくなったスマートフォン修理の見積もり連絡がありました。ジャックに異物が入っていたそうです。残念。プラグがさせなくなったときにジャック穴を下にしてそっと振ってみるべきでした。使用者の責に帰す故障なので有償修理です(約5千円)。


酒は飲まない分、茶ではすこし贅沢を。普洱茶(中国標準音:プーアルチャ、広東方言音:ポウレイチャ)の生茶です。高級生茶の試供品を付けてくれました。

f:id:shira-j:20201106221833j:plain

f:id:shira-j:20201106221856j:plain

 

2020-11-06 ひと手間を惜しんではいけない

近くにネパール人が経営するインド・ネパール料理店ができました。

昼にもネパール定食を出すそうなので立ち寄ってみます。

ありました。「ネパリセット」と書いてあります。

・ダル(豆スープ)
・米飯
・選べるカレー1つ
・サラダ
・アツァール(佃煮や漬物に相当)
・タルカリ(野菜のおかず)
・パパド(豆粉のクラッカー)
・飲み物
堂々たるダルバートです。これで税共 550円という驚きの価格。


メニューに書いてあった「選べるカレー1つ」が注意を喚起します。この店で多く出るのはインドカレーセット。ナン・カレー、ところによりタンドーリチキンという日本人におなじみのもの。カレーを6種類から選べるとすると、ネパール風のスープカレーではなくてインド風定食のカレーを流用している可能性が高い。


ネパールの伝統的な盆と器で登場しました。ダルの外見はネパール風ですが、色が黄色い。食べてみると北インド風に仕上げたチャナダルひよこ豆のひきわり)を湯でのばしてネパール風の香辛料を少し足しているようです。

これに声高に文句を言う人もいるかもしれませんが、私は感心しました。ダルバートを注文する人は少ないのでネパール風の料理を仕込んでおくのは難しい。でもインド風のカレーをそのまま出すのは気が引ける。できるだけのことをしようという店の姿勢を感じます。

制約があるなら、その中でどうするか。少し教えられた気がしました。驚きの低価格もおそらく日本にいるネパール人留学生を思ってのことでしょう。


コロナウイルス流行で遠隔会議が主体になり、会議は早朝だったり夜だったり。

f:id:shira-j:20201105192121j:plain

 

2020-11-04 いろいろなことがありました

仕事の数は依然少ないのですが、その他のことがいろいろと、というお話です。


私が運転する自動車の停止中に自転車が突入してきました。幸い自転車の乗員にけがはありませんでした。止まっていてもむこうからぶつかってくることもあるんです(以前に運転手がスマートフォンを見ていた軽自動車にぶつかられたこともありました)。

バンパー・ボンネット・フェンダーに傷とへこみ。修理に車両保険が適用できるとのこと。総修理費はおそらく20万円程度。自転車の破壊力もたいしたものです。


スマートフォンの 3.5mm イヤフォンジャックにプラグがさせなくなりました。前回使用した時には問題がなかったので不思議です。電話で通訳するときにヘッドセットは必須なので修理に持ち込みました。

持ち込んだ販売店に修理中の代替機がないとのことで、電車で2駅の僚店に行くよう依頼されました。その店で貸し出し用に機器に設定をしようとしたところ不具合が見つかり、結局代替機なしで電話機を預けてきました。サイトトランスレーションやリプロダクション用の学習素材を持ち歩いているので待ち時間は苦になりませんが、2店舗で計3時間以上は費やしました。日本の労働生産性OECD加盟国でもかなり下位、G7諸国内で最下位という事実を肌で感じました。

帰宅してから思ったのですが、電話の販売店にもう少し提案力があってもよかったですね。3.5mm レガシーのジャックが使えないのなら USB Cタイプのヘッドセットが使えるはず(帰宅してから気づきました)。または通話機能が重要なのでスマートフォン以外の電話機があればそれを貸し出すことも選択肢になります。


以前の知り合いから人を紹介してほしいという依頼があり、仲を取り持つ連絡。やはりいろいろと気遣う点があります。


専門雑誌の取材を受け、掲載原稿の確認。紙面に登場するのが私だけではないので関係者に連絡。


学習会をひとつ企画。内容と実施方法をしっかり検討しないと。


キャベツと山、散歩道があるから大丈夫。

f:id:shira-j:20201103204549j:plain

f:id:shira-j:20201103204622j:plain

 

2020-11-02 ブロック図

以前にこんなお話をしました。

2020-08-20 ブロック図を描こう

 

Microsoft Teams や Zoom で2つの会議室を使って同時通訳をする方法を考えていました。結論としては
「無理がある」
ということになります。次に誰が発言するかわからない状態では難しい。

いっぽう、講演形式では両方向同時通訳ができそうです。

こんな感じで…

ただ、この構成だと別途何らかの方法でフロア音声を聞く必要もありますね。

f:id:shira-j:20201101131044p:plain

f:id:shira-j:20201101131059p:plain

f:id:shira-j:20201101131110p:plain





 

2020-10-24 相手が変われば対応も変える

相手によって行動を変える必要もあるというお話です。


他の通訳者のことはわかりませんが、私はエージェントや顧客に問い合わせをしないほうだと思います。あるエージェントの通訳者引き当て担当者に尋ねたところ
「あの通訳者は静かだ(メールを送ってこない)」
と部門全体で高く評価されていたことがわかったことがあります。

忙しい時期にはエージェントのコーディネイターは1人で手持ちの通訳案件が数十にもなります。軽い気持ちで通訳者がメールを1つ多く発信すると数十通のメールが in box に積み重なっていく様子は想像してもよさそうです。

同じ考えの通訳者と仕事をしたことがあります。その方も
「原則として黙っている」
とのこと。


今まで6年ほど通訳をしてきましたが、いまだに
「資料はまだですか」
という問い合わせはしたことがありません。他の通訳者が受領していて私に届いていなかったときには連絡しましたが…。

交通手段や食事などについて通知が欲しいときには別の機会にお願いするか手配通知書の項目に追加してもらうよう提案しています。

何も指示されないときには
「プロとしてよきにはからえ」
というメッセージだと思うことにしています。初の現場なら食事、マイクロフォン、ヘッドセット、変換プラグなども一式持ち込みます。心構えとしてはエアコンの取り付け技術者のような感じでしょうか。


ところがこうした今までの常識が通用しないことも多いということを最近学びました。英語の慣用表現

The squeaky wheel gets the grease.

うるさく言えば聞き入れてもらえる。

のとおりです。

メールのやりとりにきめ細かさを感じ取れない外国のエージェントと仕事をしました。黙っているとたぶん何も伝わらない。

「当然だろう」と思うことも念のために問い合わせて危険を回避できました。


日本式(?)コミュニケーションの問題点として、がまんしてから爆発するというパターンがあります。異なる文化から見ると勝手に黙っていていきなり文句言ったりへそ曲げる「困ったちゃん」ととられかねない。

早いうちからプロらしく憶測や非難を排して事実を淡々と確認していき、ビジネスの標準である
「すると言ったことは必ずする」
「相手に『する』と言わせたことは必ずさせる」
ことをしっかり守る。マンガ的表現だと
「きっちりオトシマエつけてもらう」
のが健全な関係を保つのに役立ちます。


いつもの散歩道。

f:id:shira-j:20201023203804j:plain

f:id:shira-j:20201023203935j:plain



 

2020-10-23 点と点はつながったりする

以前の知識が意外なところで役に立つというお話です。


水平統合垂直統合という用語があります。

通訳の内容にも似たようなことがあると思いました。


以前にとある製造業の通訳を定期的に担当しました。素材や製品についての知識も身に付きます。担当した企業は汎用の製品も販売する大手なので、その後さまざまな他の顧客の通訳の場面でこの企業の名が登場し、製品についても話題になりました。

業界特有の背景知識と製品や製造、素材についての知識があると事前の準備がずいぶん楽です。


「かなり特殊なこの知識、他に役に立つことがあるのだろうか」
と思ったこともありましたが、その後想像以上に助けになりました。好き嫌いを言わずに楽しんで産業や市場の知識を得ていくといいことがあるというよい学びになっています。


最小の大手鉄道会社「相模鉄道」のマスコットキャラクター「そうにゃん」です。絵本も出てます

f:id:shira-j:20201022182744j:plain

f:id:shira-j:20201022182826j:plain