相手によって行動を変える必要もあるというお話です。
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他の通訳者のことはわかりませんが、私はエージェントや顧客に問い合わせをしないほうだと思います。あるエージェントの通訳者引き当て担当者に尋ねたところ
「あの通訳者は静かだ(メールを送ってこない)」
と部門全体で高く評価されていたことがわかったことがあります。
忙しい時期にはエージェントのコーディネイターは1人で手持ちの通訳案件が数十にもなります。軽い気持ちで通訳者がメールを1つ多く発信すると数十通のメールが in box に積み重なっていく様子は想像してもよさそうです。
同じ考えの通訳者と仕事をしたことがあります。その方も
「原則として黙っている」
とのこと。
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今まで6年ほど通訳をしてきましたが、いまだに
「資料はまだですか」
という問い合わせはしたことがありません。他の通訳者が受領していて私に届いていなかったときには連絡しましたが…。
交通手段や食事などについて通知が欲しいときには別の機会にお願いするか手配通知書の項目に追加してもらうよう提案しています。
何も指示されないときには
「プロとしてよきにはからえ」
というメッセージだと思うことにしています。初の現場なら食事、マイクロフォン、ヘッドセット、変換プラグなども一式持ち込みます。心構えとしてはエアコンの取り付け技術者のような感じでしょうか。
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ところがこうした今までの常識が通用しないことも多いということを最近学びました。英語の慣用表現
The squeaky wheel gets the grease.
うるさく言えば聞き入れてもらえる。
のとおりです。
メールのやりとりにきめ細かさを感じ取れない外国のエージェントと仕事をしました。黙っているとたぶん何も伝わらない。
「当然だろう」と思うことも念のために問い合わせて危険を回避できました。
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日本式(?)コミュニケーションの問題点として、がまんしてから爆発するというパターンがあります。異なる文化から見ると勝手に黙っていていきなり文句言ったりへそ曲げる「困ったちゃん」ととられかねない。
早いうちからプロらしく憶測や非難を排して事実を淡々と確認していき、ビジネスの標準である
「すると言ったことは必ずする」
「相手に『する』と言わせたことは必ずさせる」
ことをしっかり守る。マンガ的表現だと
「きっちりオトシマエつけてもらう」
のが健全な関係を保つのに役立ちます。
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いつもの散歩道。