「表現の引き出し」は多いほうがよいというお話です。
話の進行が速い同時通訳をすると「脳内資源」のかなりの部分を聞くことに振り向ける必要があると感じます。極端なことを言うと
「訳を意識する割合が低下し、半ば自動的に訳が出てくる感じ」
に近くなってきます。品質はあまり良くないのかもしれません。それでも人になんとか聞かせることができる訳を出すには、追い込まれてもそれなりの訳をとにかく「引き出しから出して」ぶつけていくしかない。
「あ、これ、どう言おうかな」
と逡巡した瞬間に話者の話を追えなくなります。通訳者関根マイクさんのいう「最寄りの訳」をさっと出すことが必要になるのです。
最寄りの訳をとっさに出すには日常の練習や意識が問われます。「あれ(良さそうな訳)」が出てこないとき、「これ(その代替品)」をさっと出せるのかどうか。日ごろから「あれ」も「これ」も自分で使える語彙・表現にしておかないといざというときに間に合いません。
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以前の勤務先は建築設備の会社だったので、あちこちに「地図に残る仕事」があります。幕張テクノガーデンもそのひとつ。
荒木町に残った最後の料亭「千葉」。営業しているのでしょうか。街灯はコンクリート製で昭和初期のもの。道の敷石は都電の路盤をはがして使ったものと聞いています。