ほめてもらったことは忘れがたいというお話です。
通訳学校時代、私はさほど出来のよい受講生ではありませんでした。なんとか半年ごとに進級はしていましたが、2年を過ぎたときに初めて上級のクラスに進めず再履修判定となりました。そのときの講評にはいろいろと厳しいことも書いてあるのですが、
内容がしっかり取れている場合には大変優れた訳出で、日英とも声質の良さもあり、安心して聞いていられます
という一節がありました。
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そしてこのときから5年を過ぎたある日、話者が早口で内容の密度が高い、なかなか苦しい同時通訳をしていたとき、その日初めて組んだ通訳者に
「(追い詰められても)声がいいですねー」
と言っていただいたのです。
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ああ、あのとき先生が言ってくださったことは今になってよみがえるのだ、と思いました。
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通訳学校の講師もお客さんもなかなかほめてくれません。私たちがバスの運転手やコンビニエンスストアの店員を(本人に対して)ほめないのと同じです。それだからこそほめられたことは心の中の小さな灯としてずっと生き続ける気がします。
そして、そんな思いをするからこそ、もうすこし他人をほめていこう、認めたことは口に出して伝えていこうと思います。
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さわやか。
さあ、いこう。