50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-01-08 勢いを失わずに訳す

数か月にわたって同じ現場で通訳をすると良いこともあります。似たような場面を何度か経験することができるのもその一つ。

初回はなかなか大変だったのが、次第に勢いを失わずに訳せるようになってきます。


内容や雰囲気に慣れたのも事実ですが、毎回の帰路に車中で「1人反省会」をしている成果だとも思います。
「話者がもし日本語(英語)を話すとしたら、もっと自然に流れるように話したはずだ」
と思うと実にくやしい。

以前に通訳学校の講師にこんなことを言われたことがあります。
「通訳する瞬間にはいろいろ考えることはないですね。肉食獣が獲物を見て飛びかかるように、なんというか、反射的に訳出していくものです」

この意味がわかってきた気がします。勢い・流れを失ってはいけない。口を開いたら言い切るしかない。言いよどむと聞き手も話し手も不安になる。


技能を高める練習を続けるのは当然として、訳すときの心構えも鍛えていく必要があると感じています。
「話者が何か言ったら(何を言っても)必ず私が訳してみせる」
と思っていなければ通訳はできないですね。この大切さは通訳学校の授業ではなかなか骨身にしみないと思います。

人間はできないと思ったら、まっすぐに歩くことだってできやしねえんだ。
(浅田次郎蒼穹の昴