日本会議通訳者協会会員の平山敦子さんは通訳関係の機器やアプリケーションに大変明るく、私もいろいろと教えてもらっています。
アルク社のウェブサイト「翻訳・通訳のトビラ」に連載の
に簡易無線送受信機(商品名 パナガイド)を使って話者の話を通訳者が聞く「音取り」について書いてあります。これを読んで私もパナガイド送受信機各1台と小型マイクロフォンとを購入しました。
▼
不思議なもので、出番はすぐにやってきました。同時通訳の同席通訳者もこの方法をご存じで、2人で顧客とエージェントにお願いをして晴れて使用が実現しました。
平山さんが紹介しているオーディオテクニカの小型マイクロフォンがかなり優秀です。演台に置いても話者に着用をお願いしても明瞭に音を拾ってくれました。
▼
最近気づいたのですが、この方法は聞き手にも直接役立つ場合があります。たとえばこんな場面。
- 同時通訳だが、同時通訳ブースの設営がない
- 話者が日本語で話す
- 聴衆に日本語を解す人がいない(日本語で聞く人がいない)
話者がマイクロフォンを使い、アンプを通して会場内のスピーカーを使うことが多いと思います。少し考えてみるとこの方法は合理的ではありません。スピーカーから会場いっぱいに流れ出る日本語音声を聞くのは通訳者のみ。イヤフォンで通訳者の音声を聞いている聴衆にとって会場スピーカーの日本語は「騒音」です。
通訳者チームから会場用マイクロフォンを使わないよう提案しました。理由はもちろん
「聴衆の皆さんがそれを望んでいらっしゃいます」
ということ。通訳者が楽をしたいためではないことが言外に伝わるといいですね。
その上で話者に小型マイクロフォンを着用してもらい、パナガイド送信機で通訳者用に音声を送信します(日→英 1ch、英→日 2ch なら通訳者用は 4ch など)。
▼
パナガイドのイヤフォン出力はモノラルです。ステレオイヤフォンのプラグを挿すと片耳のみ聞こえます。これでも十分ですが、私は両耳で聞きたいのでモノ・ステレオ変換プラグを使っています。
▼
イヤフォンは残念ながら絶版になってしまった以下の2機種を使っています。同時通訳には(私にとって)最高です。
・音が良い(おそらく音声ユニットは上級機の流用では?)
・外部の音や自分の声もほどよく聞こえる
・長時間着用しても耳が痛くならない
・すばやく耳から外せる(Q&A で会場の声を聞くときに助かります)
・安価(2,000円くらいでした。性能は3万円の機器と同等)
▼
少し久しぶりのダルバート。大森の「サーランギー」です。