通訳学校の講師が以前にこんなことを言いました。
「通訳の仕事をして報酬を受けると、学校に来るのがなんだかばからしい、とまでは言わなくても、そんなに意味があるのかなあと思うようになりませんか」
金を払って
「あそこがだめ、ここもできていない」
と言われる学校と、お金をもらって運が良ければ
「ありがとうございました。助かりました」
と言われる仕事とではずいぶん違います。
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私の場合にはそうでもなくて、通訳の仕事をすると
「ああ、もっと学校の教材をしっかり学習しておけばよかった」
と思います。長期出張中もなるべく時間を見つけて復習をしていました。
仕事ではその場ではうまくいったようでも、帰りの車中で思い返すと(1人反省会)、訳が話者の意図をわずかに外していたり、さらに良い訳があったりするのを思いつきます。
どれだけ早く訳を出せるかとか、段落の順序を組み替えて訳してみるといった試みは本番ではなかなかできません。なにより、教室でできる以上のことが仕事でできることはまずないでしょうね。
学校を修了してしまったので(プロ速成科は再履修を認めない)、時期をみてちょっと厳しめの練習会でもしなくちゃな、と思います。