通訳や通訳学習の経験が皆無の状態から5年で通訳学校の通訳養成課程で講師をするようになりました。もっと短い時間だった方もいるでしょうし、もっと時間がかかった方もいるでしょう。
学習を始めたときに50歳10か月だった年齢を考えると比較的短い時間ではなかったかと思います。
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最初の2年は通訳実務の経験を積もうと思わず、学校での通訳訓練に集中したことが私にとっては良かったようです。こんなことを考えていました。
「報酬を受けて通訳するのだから、現場は学校よりずっと大変なはずだ」
「医療でも法律でも、業務は学校の授業よりはるかに高度だ」
「それならまず第一に通訳学校で最上位のクラスを修了する必要があるだろう」
「仕事はその後だ」
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実際にはこの考えには正しい面と一部足りない面とがあることがわかります。インタースクールの会議通訳本科を1→2→3と進んだところでインターグループの通訳者登録会に誘われ、登録して実務を経験することになりました。
・2013-11 登録
・2014-03 初の通訳業務
・2014-04 会議通訳プロ速成科(専属通訳養成科の前身)開始
・2014-08 長期にわたる技術施工通訳の開始(断続的に 2016 年まで)
・2015-03 会議通訳プロ速成科修了
プロ速成科と技術施工通訳との両立では苦労もしましたが、通訳実務で気づいた課題を授業という安全な環境で試行錯誤しつつ検討できたのは非常に良かったと思います。
学校に行っている間は学校だけにしよう、というのも大切ですが、最上級あたりになるとそれだけでは情報・刺激が少し足りないのかもしれません。現場に出ることで2方向の作用が起こるように思います。
- 教室では感じにくい通訳の重要さを思い知る
・顧客が目の前にいて訳出を待っている
・訳出が直ちに顧客の意思判断に使われる
・その場の位置づけ・流れを意識しないと訳が通じにくい - 教室で学ぶことの重要性を現場で思い知る
・正確に、明瞭に、簡明に訳出する重要性
・十分な声量で素早く訳を開始し、不必要な発声を排除する重要性
こうして現場で気づいた課題を教室で解決し、教室で練習した成果を現場で試すことができました。
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周囲を見てみると通訳学校の最上級に進んだあたりから仕事に出る(派遣社員として社内通訳者で)ことが多いようですね。同一企業で一定期間通訳をすると復習効果があってとても良いように思います。
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2011年 静岡