50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2020-02-24 基礎練習組み換え

八年後の変更というお話です。


通訳学校に通い始めた2012年から今まで欠かさず続けている基礎学習があります。出所の確かな英語を黙読し、目を離して再現するという単純なものです。

短く1~2文を正確に再現したり、長めに話の筋を追えるかを試したりと、外から見ると同じように見えても多様な練習ができます。読み取りの練習と共に、英語の根源的なしくみ・発想、つまり「普通はこう言う」ことがわかってくるのが大きな利点だと思っています。結論の述べ方、理由の示し方、例の引き方から時制や限定・非限定についてもとても効果的な勉強になります。


昨年(2019年)に東京外国語大学出版会の「よくわかる逐次通訳」を購入し、今頃になってようやく手を付けました。仕事で通訳をするからこそ本書の説明の重要さがわかる気がします。通訳では起点言語の表現にとらわれることなく意味をつかみ取ることが必要だという箇所が気になりました。

英語を読んだり聞いたりすると、その意味は頭の中で
「♪#△@$π&」
という渦になる。通訳するときにはこの
「♪#△@$π&」
が日本語になって出てくる。

英語を読んで英語で再現するとこの「非言語化」に制約が課せられるはずです。どうしても英語の単語の印象が強い(再現しなきゃ、と思ってるから特に)。

それでは、と再現を日本語でしてみることにしました。なんのことはない、逐次訳です。ただ練習している本人の理解は通訳学校に通っていたときのように
「ハイ、ここ訳してください」
と言われたときとは心構えが少しだけ異なっています。原文の意味をしっかりとつかみ取って話者・筆者に誠実に別の言語で再現するには非言語化の域を通らなければならないという意識がある。そんなこと関係ない、「訳は訳だ」と感じる人ももちろんいるはずですが、私の場合には
「これは、こういうことなのだ。こうした意味があるのだ」
と考えて取り組むのが好きなだけです。そのほうが若干でも練習の「効き目」がありそうですし。


いつもの散歩道。

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ダイちゃん。

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