50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-06-23 沈黙してしまいました

学校の授業は英→日(EJ)の逐語訳演習でした。前半はいろいろと問題はあるにしても、なんとか声を出して文章として完成させていました。そして後半、ちょっと(いや、かなり、だと思うのですが)わかりにくい部分を訳そうとしました。ところが…

日本語が何も出てきません。完全に止まってしまいました。

講師は
「まあ、これはたしかに難しいかもしれません」
と言って、音声を再度流してくれます。

再び沈黙。

「どうですか」
と音声3度目(3回聞くときはめったにありません)。

やっぱり沈黙。


この衝撃は大きかったですね。こんなことが実際に起こってしまった。発言者が何か言っているのに通訳者が何も言わない。自動販売機にお金を投入したのに品物が出ない。ウエイターがテーブルに皿を置いたが、料理が乗っていない。


反省すべきは自分勝手であったことです。心のどこかに思い上がりがある。話の流れにやや飛躍があり、発言が理解しづらいと感じました。それに対して心の中の「企業生活28年・管理職の Shira」が異議を唱えた。
「話がわかりにくいのは、話し手の責任だ」

これは通訳者としての責任放棄ですね。70点が取れなくても 50点を確保して会議を先に進める手助けをする・カッコ悪くてもなんとか取り繕ってみる努力をすべきでした。誤訳で損害が出るような場合(株が売られる・合併が決裂する・ミサイルが飛ぶ、等)には話者を止めて内容を確認する必要がある。しかし、私が止まった部分はそこまで重要ではありませんでした。

職業通訳者なら自己とエージェントとの保身(クレーム防止)も考えねばなりません。良い訳が出ないこともあろう。でも、ウソはつくな。黙り込むな。誤解につながらない程度にうまく「流して」いくことだって必要だ。


疲れが出たことも気力が欠けた原因のようです。授業の日は早朝から翻訳をしていました。その後に通訳の授業に備えようと電車の中で英語の音声を聞きました。その後に3時間近い授業でしたので…(このくらいでへばってはいけないのですが)。


復習で同時通訳するとあら不思議、苦し紛れながら日本語が出てきます。強制力が働くからでしょうか。

貴重な体験を安全な環境(=授業中)ですることができました。

いまに見ていろ。