続けていくとやがて発見がある…かもしれない…というお話です。
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民間の通訳養成機関インタースクール東京校のおかげで通訳者としてなんとか世に出て通訳者仲間もできました。最も影響を受けた講師が第一に勧めていた学習法が
リプロダクション(再現)
です。第一言語(日本語)でも第二言語(英語)でも再現の練習になりますが、ここでは英語が対象になりました。
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学習で大切なのは以下の2つを矛盾させずに両立させることじゃないかと思っています。
・その学習はどこに・どのように・なぜ効果があるのか を考える
・とにかく習慣として続ける
素材が確かなら学習しないよりは何かしたほうが必ず良い方向に進みます。私はこの講師のすすめに従ってかなり執念深くリプロダクションの練習をしてきたと思います。2012年10月に始めて現在に至るまで2日以上の間を空けたことはないはずです。
効果の測定はできないのですが、現在通訳専業としてなんとかなっているのですからきっと何らかの良い働きはあったと考えるべきでしょう。
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そして今年 2020 年を迎え、つまりリプロダクションを始めて7年半経過して少しわかってきたことがあります。
講師が英文のリプロダクションの重要性を強調していたのは日本人受講生の最大の課題(弱点)である
「それを英語では普通どう言うか」
を強化するためなのでしょう。
※ その講師がどう考えているかはわかりません。これは私の解釈です。
もちろん意味のひとまとまりを取り込んで訳出に備えるという副次的な効果もあるのは間違いありません。しかし通訳訓練を受け始める人の大部分はまず英語の運用能力が不足しています。これは染谷泰正さん(2018年3月関西大学教授職を定年退職)の以下の論文のとおりだと思います。
日本における通訳者訓練の問題点と通訳訓練に必要な語学力の基準
(『通訳理論研究 10』第 6巻 1号 (1995:46-58) )
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今年になって再現の練習を少し変更しました。私の場合は音声ではなく英語の書面を素材にしてきたのですが(どこでもできるので)、
・最初の段落を再現
・次の段落で逐次訳
・次の段落でサイトトランスレーション
という組み合わせにして、これを2~3巡繰り返すようにしてみました。英語の練習に通訳の練習の要素を少し加味してみたわけです。
こうすると通訳で必要になる
「意味をとらえる」
部分の練習になるような気がしています。素材の単語や表現から一度離れて(非言語化領域で)意味をとらえて再現する練習になるのではないかと思っています。
少なくとも害はないはずなので、また数年続けてみるとわかってくることもあるでしょう。年単位で続けることが気にならないのはひょっとすると強みといえるかもしれません。