50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-10-02 通訳学校に通って2年半(2)

2014-09-30 通訳学校に通って2年半(1)の続きです。

講師から受けた指摘がいくつか。

  1. 情報の捕捉について(英→日逐次
  2. 緊張について(逐次
  3. 無言の時間(おそらく 2 に起因)

一見通訳技能上の問題で、英語の基礎力の問題ではないかのようです。しかし、実際には英語が私にとって外国語(acquired language)であるために「余裕」がないことが原因となっているのは間違いありません。


情報の捕捉については、おそらく2つの原因があるのではないかと考えてみました。

  1. 短期記憶が不十分
  2. 聞いた話を総括してしまう

短期記憶にどれだけ収納して取り出せるかは個人差が非常に大きいようです。私の場合、日本語の新聞記事でも再現(リプロダクション)が難しいと感じるときもあります(内容により)。訓練でどれほど伸びるかわかりませんが、地道に練習を続けるしかないのかもしれません。The Economist の記事を黙読してから再現する練習を2年ほど毎日続けています。最近になってやや効果が出てきたようです。

「聞いた話を総括してしまう」というのは、長年の企業勤務で
「で、それはつまりどういうこと?」
という聞き方・考え方が染みついていそうなこと。話者に忠実に再現していくのではなく、
「いろいろ言ってるけど、まあ、つまりこういうこと」
と「まとめたがる」のではないかと…。短期記憶が弱点なので、この傾向が強く出るのかもしれません。細かいところまで記憶しようとすると全体の枠を覚えきれなくなるので、無意識に取捨選択して「耳フィルタ」を動員しているかのようです。

つまり、上記1・2は表裏一体の問題の可能性が高い。

対策としては、まず話者の身になって聞いてみようと思います。話者はさまざまな表現をしますが、その「話者にとっての必然性」をそのまま聞き取る。「ああ、つまりこういうことか」と自分なりに理解するけれども、再現するときには話者の表現に寄り添う。無理に細かく記憶しようとするのではなく、より話者の世界に入って、「なりきって」覚えてみる。

言うほど簡単ではなさそうですが、とりあえずこんなことを意識して練習してみます。

そして…。いろいろ書いてみましたけれども、まったく的外れかもしれません。短期記憶が弱いから通訳はあきらめなさいと言われてはたまらないので、何か言い訳を考え付いたというのが本音ですね。