少し疲れを感じて昼寝。
夢の中でお客さんが秘密の情報を通訳者に知らせるのをためらっている。
「職業倫理としてこの場で見聞きしたことはどこにも出ていきません。たとえば、私の家族は私がどこに行くかも知らないんです。『今日の仕事はどこ』と聞かれると、『今日は山』『今日は海』『今日は島』としか言ってませんから」
と大見得を切っていました。なぜ3つめが「島」だったんだろう。島なんて言ったらかえって現場が特定されそうですよね…。
いつもすてきな和風弁当を用意してくださるお客様。南アジア料理以外にもおいしいものがあることを思い出します。
会社員時代の知識・経験が大いに生きた週でした。
6月と7月とに少し業務を詰め込んでみました。この2か月で50件、うち同時通訳が32件、逐次通訳が18件。1月・2月の件数が少なかった分を取り返せた感じです。
通訳関連雑誌の調査によると、極端に高い報酬・極端に低い報酬を除くと2016年の1日あたり通訳の平均報酬は 44,000円程度とのこと。この平均報酬を得ていれば少し忙しいけれど月に21件詰め込むと月商 924,000円です。年末年始・夏の休みや春秋の連休もありますから、平均の月収はもっと低くなるでしょうね。月額 800,000円として年間売上は 9,600,000円。給与所得にすると 6,000,000円くらいに匹敵するでしょうか(有給休暇・退職金の月割り額・社会保険料の事業主負担額・将来の厚生年金受給額などを勘案して)。
私の同級生だと年収 12,000,000円は珍しくないので、半額以下! ということにもなりますね。
「通訳はさほどもうからないよ」
と多くの人が言うのはこんな事情からだと思います。他の事業と違って「掛け算」が効きません。作家なら著作が数十万部売れることもありますし、予備校の人気講師ならビデオ教材の二次使用があるでしょう。俳優・歌手なら宣伝に起用ということもある。
通訳者はその時・その場の職業です。2018年7月25日にできる仕事は普通は1件。短ければ2件もありうる。最多でも3件でしょう。掛け算ではなく地道に足し算を重ねていく仕事です。
それでも自分で自分のキャリアを作り、大いなる自由を得る楽しさは金銭には簡単に替えられません。会う人に
「(髪は薄くなったが)元気で良い顔をしてるね」
と言ってもらうことがよくあります。
はい。まだまだこれからですから!
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それと、通訳は学歴・年齢・性別・国籍等を問いません。通訳がしっかりできて、お客さんに気に入ってもらえる行動ができれば上記程度の年収を得るのはさほど難しいことではないようです。家庭の事情で細々と続けざるを得なかったり中断が長くなっても、仕事ができれば注文は戻ってきます。
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暑かったので出来心…。
多くの通訳者と仕事ができた3週間でした。
第一週
初めて会う方々5人と3日間。シンガポール料理を食べる機会がありました。
第二週
何度も一緒に仕事をしたことのある方々計8人と入れ替わりで。すてきなビストロやしっかりした料理を出すインド料理店、お客さんの社内食堂も…。
第三週
4人の通訳者と出会っていろいろと勉強になりました。うち1人は当日の決断で業務後に南インド料理の会にご案内。
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最終日の帰路に日本橋「ナワブ」で本格的パキスタン料理の会。
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炎天下に外を歩き回る仕事が2日あったので週末はゆっくり休んでいます。
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日本橋「ナワブ」にて。
Kabuli Pulao(レーズン・ナッツ・甘いにんじん等がかかったプラオ)カブリではなくカーブリ、アフガニスタンのカーブル風という意味(カブールは原音から遠い)
Vegetable Biryani(野菜のビリヤニ)
Brinjal ki Kadhi Pakoda(野菜の天ぷら:今回はナス)をグレービで煮込んだもの)
Fish Kofta(魚のコフタ(ミートボール))
Salgum Keema (Mutton)(カブとマトンのひき肉)
Ginger Chicken
Mutton Haleem(ハリーム、マトンを糊状になるまで煮込んだもの)
Sobat / Painda(塩味のマトンと煮汁を吸ったロティ)
Chicken Karahi(鍋で提供される チキン・野菜の蒸し煮)
インドを定期的に訪問し、知り合った運転手や商店主の家庭でレストラン料理と全く異なる家庭料理を毎日のように食べる小林さん撮影の写真を許諾を得て掲載しました。
小林さんはアジア各地方の調理器具・食器を扱う Asia Hunter の経営者です。日本の南アジア料理店に幅広く納品しているので、レストラン経営事情・調理師の腕前については地獄耳…。
日本会議通訳者協会会員の平山敦子さんは通訳関係の機器やアプリケーションに大変明るく、私もいろいろと教えてもらっています。
アルク社のウェブサイト「翻訳・通訳のトビラ」に連載の
に簡易無線送受信機(商品名 パナガイド)を使って話者の話を通訳者が聞く「音取り」について書いてあります。これを読んで私もパナガイド送受信機各1台と小型マイクロフォンとを購入しました。
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不思議なもので、出番はすぐにやってきました。同時通訳の同席通訳者もこの方法をご存じで、2人で顧客とエージェントにお願いをして晴れて使用が実現しました。
平山さんが紹介しているオーディオテクニカの小型マイクロフォンがかなり優秀です。演台に置いても話者に着用をお願いしても明瞭に音を拾ってくれました。
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最近気づいたのですが、この方法は聞き手にも直接役立つ場合があります。たとえばこんな場面。
話者がマイクロフォンを使い、アンプを通して会場内のスピーカーを使うことが多いと思います。少し考えてみるとこの方法は合理的ではありません。スピーカーから会場いっぱいに流れ出る日本語音声を聞くのは通訳者のみ。イヤフォンで通訳者の音声を聞いている聴衆にとって会場スピーカーの日本語は「騒音」です。
通訳者チームから会場用マイクロフォンを使わないよう提案しました。理由はもちろん
「聴衆の皆さんがそれを望んでいらっしゃいます」
ということ。通訳者が楽をしたいためではないことが言外に伝わるといいですね。
その上で話者に小型マイクロフォンを着用してもらい、パナガイド送信機で通訳者用に音声を送信します(日→英 1ch、英→日 2ch なら通訳者用は 4ch など)。
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パナガイドのイヤフォン出力はモノラルです。ステレオイヤフォンのプラグを挿すと片耳のみ聞こえます。これでも十分ですが、私は両耳で聞きたいのでモノ・ステレオ変換プラグを使っています。
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イヤフォンは残念ながら絶版になってしまった以下の2機種を使っています。同時通訳には(私にとって)最高です。
・音が良い(おそらく音声ユニットは上級機の流用では?)
・外部の音や自分の声もほどよく聞こえる
・長時間着用しても耳が痛くならない
・すばやく耳から外せる(Q&A で会場の声を聞くときに助かります)
・安価(2,000円くらいでした。性能は3万円の機器と同等)
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少し久しぶりのダルバート。大森の「サーランギー」です。
都心から少し離れた場所に住んでいるので、通訳者としては少しハンディキャップがあります。現場に着くまで時間がかかりますし、交通費も多くかかる(顧客への請求額が高くなる)。
その反面、住環境はなかなかだと思います。とにかく静か(夜は数十メートル先の自動販売機に硬貨を入れる音が良く聞こえました。今はその販売機もなく)。そして涼しい。暑い暑いという声を聞きますが、昨日も今日も夕方は風が涼しく、エアコンは不要です。そして朝はウグイスの声で目が覚めます(いや、起きたらウグイスが鳴いている)。
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たまには中国料理でキメます。肉は骨付きがおいしい。
餃子は主食です。中国では以前は原料の小麦の量で注文していました(今もそうかな?)。桂林に旅行したとき、2両(100g)がちょうどいいよ、と言われてびっくりしたのを憶えています。小麦粉の量だったのですね…。これでだいたい2両だと思います。