50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2020-02-20 乗り切った

私にとっては大きい通訳プロジェクトを収めたというお話です。


どんな仕事にも「わらしべ長者」現象って起こると思います。以前に通訳者仲間から

私が日程上担当できないこの仕事、代わりに行ってくれませんか

と言われて直接契約で通訳を提供したことがありました。その会議に参加していた人が声をかけてくれて別の仕事を担当することになり、その会議に居合わせた人がまた別の仕事を依頼してくれました。ひとつのお客さんが3つになりました。


複数の通訳者を動員して同時通訳機材を手配する幹事業務はなかなか大変です。初めて経験したときには
「こんなに手間のかかる、重圧を感じることはもうしない」
と思うのですが、次の依頼があると
「ま、前回の経験で改善点もわかったからもう一度してみよう」
と思ってしまうんですね。


いままでに一緒に仕事をしたことがあり、私が声を掛けて「いいですよ(参加します)」と言ってくれた通訳者仲間と一丸になって取り組む感じは格別です。お客さんが何を望んでいるのかを直接聞き取り、会場内はどのような配置になるのか、音響をどうするかを考えて決めていく。何か変更があると通訳者全員に連絡をして調整する必要が出てきます。そして自分も通訳者として資料を読んで準備しなければ…。


それでもできる限りのことをして当日に臨み、無事に終わったときの感じはなんとも言えません。ささやかながら「これを自分で作り上げた」という思いは格別です。もう次はない、もうしないと思っても、「次回はあそこをもっと改善しよう」と思って引き受けてしまうのかもしれません。


そしてもう一つ大切な収穫があります。エージェントの苦労が本当にわかるようになるんです。通訳者からのメールの返事が早いとどれだけ助かるか、ある程度融通をきかせてくれるとどれだけありがたいか。メールの表現がときとしてかなり重要なこともわかってきます。親の心子知らず、なんですね。


近所の川辺にいるダイサギのダイちゃん(仮称)。

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2020-02-15 たまたまうまくいっていただけ

山もあれば谷もあるというお話です。


今年(2020年)の1月は業務量が少ない月になりました。2月・3月とまずまず順調な予約があったので少し安心したのですが、雲行きが少し怪しくなってきました。

数日間連続の業務が2件なくなりました。自分で作った Excel 事業計画表からこの2件の売り上げを削除したらかなりの打撃が明らかに…。一度見込みに入れたものが消滅する痛みは大きく感じます。


しかし順調に仕事の予定が入っていくのは当然のことではないのですね。エージェントの営業努力があり、通訳者引き当てのときに私の名を思い出してもらって仕事がやってくる。ひょっとすると仕事が来るのが例外的で、今回の体験のように仕事が「蒸発」するのが普通という時期もあるのかもしれません。

一喜一憂せずに数か月または半年単位で仕事の量を考えるほうが精神安定に良いはずです。好きで選んだ請負による自営業。仕事がないときには今までしたくても時間がなかったことに取り組む機会だと思いましょう。


鶴見に開店したネパール料理店「ハングリーイーツ」。ネパール料理の他にインド料理があるのは普通ですが、生姜焼定食や海鮮丼も置いて広く客を取り込もうとしています。

タカリ族の料理でよく見る緑色のダル(豆スープ)。豆の成分と鉄鍋の反応だということだと聞きました。全般的におだやかな味で好感が持てます。

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日本の「ごはんと味噌汁セット」みたいなネパールカナセット。

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2020-02-10 偶然にびっくり

不思議と一致することがあるというお話です。


通訳者仲間に届けるものがあって近所の宅配便集配所に行きました。カウンターの端末で送り状情報を入力したらメールが着信。なんと宅配便を送る相手です。メールの内容は別件。偶然に驚きました。


この前日にも別の方について
「そういえばどうしているかな…」
と思ったらメールが来ました。


偶然でもそうでなくても、縁は大切にしたいと思います。


横浜駅から歩けるネパール料理店「ルーフトップビアガーデンヨコハマ」の定食です。ネパール語ダルバート。ダルはひきわり豆のスープ、バートは米飯。ダルバートは広く全国で食べられていますが、この店で出すのはネワール族の料理と聞きました。野菜・鶏・羊・スペシャルと4種類あって、今回は野菜。

写真手前がダル。今回はグンドゥルック(発酵干し青菜)が入っていました。奥はアルタマ。アル = じゃがいも、タマ = 発酵たけのこ。発酵たけのこの独特の香りは慣れるとなかなか良いものです。

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ダルバートについては大阪の「ダルバート食堂」のブログに充実した記事がありました。

ネパールのいろいろな料理をご紹介

 

2020-02-09 自営業通訳者の良さ

企業勤務をしたからより強く感じることもあるというお話です。


自営業通訳者として仕事を始めて5年半。商売替えしてしみじみ良かったと思うことがいくつかあります。

自分で何でも決めていけること。引き受けたくない・引き受けるべきではない仕事を断れること。

しかし最も好きなのは
「自分で納得しきれていないことを他人に指示しなくて良い」
ことです。

自分の心に正直であろうとすれば
「まあ…。いろいろと問題はあるんだが、決まったことだから頼む」
と言うのでしょうか。自分が納得していないそぶりを隠して
「これは本当にすばらしい。皆でがんばろう」
と伝えれば、こんどは自分の心の柔らかい部分を傷つけます。


自営の通訳業をしていれば
「『大人の事情』だから、まあ、そこをなんとか頼む」
と他人に指示をする必要は皆無です。これはありがたい。これだけで良く眠れ、長生きできそうです。


ダイサギのダイちゃん(仮称)。ときどき民家の屋根に停まって見張りをしてます。

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2020-02-08 さえないときもあるが

なんとなくうまくいかなくても、やがてなんとなく好転する。ただし違ったところで、というお話です。


仕事以外のことで不要なおせっかいをしてしまってやや落ち込みましたが、仕事では連日良いパートナーに恵まれてお客さんにしっかり価値を感じてもらった気がします。

共に仕事をする人が技術的に優れていて、かつ
「一緒にいるのが気楽でなんとなく楽しい」
というのは実はかなり大切なのではないかと思います。雑談の感触が合うとでもいいましょうか。出会うのがそんな人ばかりなのもフリーランス通訳者の良いところだと思っています。


購入したイヤフォンが無事に同時通訳デビュー。オーディオテクニカの中高級品だけあって良い分解能を示しました。パッドは左右で色を変えて(黒と灰)すぐにわかるようにしました。

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2020-02-03 ようやく

確定申告で税金が還付されるのではなく払う側に至った、というお話です。


企業勤務を終えた翌年の年収はわずかなもので、年税額は 0円でした。
「待ってろ。また支払う側になるから」
と思いました。

通訳専業になってしばらくの間は確定申告で税の還付を受ける年度が続きました。つまり、
報酬を受け取るときに源泉徴収された額 > 年税額
だったわけです。


2019年を締め切って確定申告書を作成したところ、自営業者として初めて年税額が源泉徴収税額を上回って追加で税金を払うことになりました。

申告納付額が発生するのを自分なりのひとつの目標にしていたので少しほっとした思いです。ようやくここまできた。

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2020-01-30 なんとなくすっきり

繰り返しの仕事に行くと落ち着くというお話です。


年間の業務をまとめて予約してくださるお客さんもあります。年末年始休みをはさんでの仕事だったのですこし間が空きました。

雨がちの朝ですが、最寄り駅を降りて歩き出すとなんだか元気が出てきます。繰り返し注文していただけるのはありがたいこと。初めてのお客さんでも繰り返しのお客さんでもその1回の仕事の重要さは変わりませんし、通訳者も毎回できる限りのことをしています。それでもなお繰り返しのお客さんだと一種独特の親しみを感じるものです。


仕事が終わって外に出ると青空が広がり、ビル街が明るくなっています。通訳を仕事にしていてよかったと単純に思える時間です。姉弟子に教えてもらった鯖の文化干しのおいしい店で昼にしましょう。