私にとっては大きい通訳プロジェクトを収めたというお話です。
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どんな仕事にも「わらしべ長者」現象って起こると思います。以前に通訳者仲間から
私が日程上担当できないこの仕事、代わりに行ってくれませんか
と言われて直接契約で通訳を提供したことがありました。その会議に参加していた人が声をかけてくれて別の仕事を担当することになり、その会議に居合わせた人がまた別の仕事を依頼してくれました。ひとつのお客さんが3つになりました。
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複数の通訳者を動員して同時通訳機材を手配する幹事業務はなかなか大変です。初めて経験したときには
「こんなに手間のかかる、重圧を感じることはもうしない」
と思うのですが、次の依頼があると
「ま、前回の経験で改善点もわかったからもう一度してみよう」
と思ってしまうんですね。
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いままでに一緒に仕事をしたことがあり、私が声を掛けて「いいですよ(参加します)」と言ってくれた通訳者仲間と一丸になって取り組む感じは格別です。お客さんが何を望んでいるのかを直接聞き取り、会場内はどのような配置になるのか、音響をどうするかを考えて決めていく。何か変更があると通訳者全員に連絡をして調整する必要が出てきます。そして自分も通訳者として資料を読んで準備しなければ…。
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それでもできる限りのことをして当日に臨み、無事に終わったときの感じはなんとも言えません。ささやかながら「これを自分で作り上げた」という思いは格別です。もう次はない、もうしないと思っても、「次回はあそこをもっと改善しよう」と思って引き受けてしまうのかもしれません。
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そしてもう一つ大切な収穫があります。エージェントの苦労が本当にわかるようになるんです。通訳者からのメールの返事が早いとどれだけ助かるか、ある程度融通をきかせてくれるとどれだけありがたいか。メールの表現がときとしてかなり重要なこともわかってきます。親の心子知らず、なんですね。
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近所の川辺にいるダイサギのダイちゃん(仮称)。