50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2019-04-17 出る杭は伸ばそう

日本会議通訳者協会が主催する JACI同時通訳グランプリ2018 でみごとグランプリ(最優秀賞)を勝ち取られた石井悠太さんがイカロス出版の「通訳翻訳WEB」で紹介されています。

スキルを活かして活躍中!
「JACI同時通訳グランプリ」受賞者INTERVIEW

今年もグランプリを実施しますので、観戦といわずにぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

第2回 JACI同時通訳グランプリ

本選会場は東京外国語大学の同時通訳施設付ホールです。

前回の第1回の競技終了後には参加者が通訳エージェント各社(聴衆として参加)に取り囲まれていました。

 

2019-04-15 出張もいろいろ

今年もいろいろと出かけていましたが、先月までは宿泊を伴うものでは滞在地が一か所でした。今月になって今年初めて顧客と移動する業務となりました。幸い移動の前後に時間的ゆとりがあって助かります。晴天にも恵まれ、長距離移動のある業務でも精神的に追われる感じがありませんでした。

リゾートホテルの滞在もありました。環境、浴場や食事はすばらしいのですが、業務で連泊となるといろいろ制限もありますね。
・コインランドリーがない(周辺にも)
・食事は豪華で高いもののみ
・客室に背もたれのある椅子がない(意外に疲れました)
・宿泊費が高く、エージェントから顧客への請求額が高くなる(「今回の通訳は高い」という印象につながる)
・観光向けのもてなしに「違うんだよね」感を受けてしまう


普段は考えたことのないビジネス向けホテルの利点も見直す機会になりました。まず上の箇条書き部分がすべて逆になります。一種無機的なサービスは仕事で滞在する宿泊者にとってちょうどよいのですね。

もう一点気づいたのは、ビジネス向けチェーン経営のホテルでも新築・改装後の場合客室の基本部分はかなり質が良いこと。特に
・夜間騒音(エレベータ・室内冷蔵庫・給排水)が低い
・浴室の冷温水混合栓が使いやすい(希望の温度にしやすい)
・ベッド・枕の具合が良い


全日程終了後に友人と待ち合わせて「大阪ハラールレストラン」。

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ビリヤニも食べたいのでCセット。でもちょっと「良い物が多すぎ」だったかも。日替わりの2品がハリームとカシミールチキンカレーだったので、ロティで食べてもおいしかったはず。

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南インド屋」さん(現在は店舗を構えていません)の記事をぜひどうぞ。

ハリームHaleemという食べ物

日本橋ムスリムレストラン「ナワブ」だとハリームを作るときがあるかもしれません。埼玉県八潮市の「カラチの空」や「アルカラム」は本格的なハリームを定期的に提供しているようです。

2019-04-12 日本通訳フォーラム2019

一般社団法人 日本会議通訳者協会 が主催する

日本通訳フォーラム2019 は8月24日(土)に東京都区内で開催です。

今回の基調講演は新崎隆子さんにお願いしました。

(過去の基調講演者:原不二子・鳥飼玖美子・鶴田知佳子 敬称略、実施年度順)

協会のフォーラム実行委員やボランティア、理事が今年も通訳の幅広い(他ではちょっと聞けない)講演を取りそろえて鋭意準備中です。


私は通訳業界では新参者ですが(いつまでもそう言っていられませんが)、会計処理を苦痛に感じないのでこの協会の会計担当理事をしています。企業勤務時代に経理を担当したおかげで上に挙げた基調講演者諸氏とも親しくお話させてもらうことになったのですから、人生では何が後になって何とつながるかわからないものです。


日本通訳フォーラムの運営に関わってもう4年以上になります。毎回
「こんなに多くキラ星のような講演者をそろえたら来年は内容が枯渇するんじゃないか」
とつい心配するのですが、次の回になると必ず前回に負けない内容で実施できています。今回も間違いなくそうなりますね。


日本会議通訳者協会のオンラインコンテンツの蓄積もかなりのものになってきました。たとえば「製薬業界の通訳」は連載17回を超えて継続中で、第一線で通訳してきた人だからこそ書ける迫力があります。この内容は他では日本のどこに行っても得られないものだと思います(連載者によるセミナーはすぐに満席になってしまいました)。

2019-04-07 忠実な通訳(1)

知ったような顔をして
「通訳は『何も引かず・足さず・曲げず』ですよ」
と言っているだけではこの仕事の職業倫理と生活の糧としての考え方がなかなかわからないのではないでしょうか。

いろいろな状況が起こりえます。

二国の閣僚が記者会見を終え、レセプション会場に入った場面を想像してみましょうか。日本側が前もって仕入れた知識で通訳者を介して話しかけます。
「お嬢様は有名な△△大学に進学されたようでなによりです」

しかし進学したのは実際には息子さんです。記憶違いですね。通訳者はこの間違いに気づきました。さて、どうするか。

「何も引かず・足さず・曲げず」なら、あえてそのまま訳す。相手のことについて調査不足で息子と娘を間違えているのを伝えるのも重要だ、と割り切る立場もあるでしょう。

これを聞いた相手国の大臣は
「ん? 通訳者が間違えたか、あるいは調査不足だな。いずれにしろ私も(我が国も)少し軽く見られたものだ」
と感じるかもしれません。日本側が望んだ友好ムードに若干水を注すことになりかねません。

この対極として通訳者が勝手に修正して訳してしまうということも可能です。相手はうんうんとうなずいてお礼を述べ、友好ムードが高まります。両国関係の進展という大きな目標の実現につながる通訳です。

あるいは通訳者は自らの責任を回避するために日本の大臣にそっと耳打ちする手もあります。
「進学したのは息子さんですよ」
「あっ、そうだった。そう訳してください」
「えっ、そうか? わからんから、長旅おつかれと言っておいてくれ」
これでも丸く収まります。


上記の例は通訳の成功とは何かという難しい話を含んでいると思います。狭い意味での(言語・表現の変換)「通訳の成功」と「場の成功」とが少し食い違うこともあるわけです。

そしてこの難しさに輪をかけるのが
「通訳者は依頼者の利益になるように行動せよ」
「通訳者は依頼者の利益を損なってはならない」
という通訳者の職業人としての姿勢。依頼者がお金を払って通訳を依頼するのは、達成したい目的があるからなのです。


以上はこのブログ記事のために設定した架空の話ですが、実際にこうしたことはよく起こります。
「それではどうしたらいいのですか」
と受け身で「正解」を求めているだけでは危ういと思います。自分で考え、他人の意見も聞き、場面ごとに顧客の利益になりつつも通訳者として後悔しないようにその場で決めていく覚悟が必要だと考えています。


なぜかビリヤニに添えたスプーンとフォークに紙が巻いてありました。

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2019-04-06 ノートを取る練習

逐次通訳でノートを取るための練習も定期的にしています。

ノート取りの教科書が鋭い視点を紹介していました。ノート取りの練習を始めるときには音声ではなく音声を書きとった原稿を使えというものです。音に追われてあわてているのではノートの取り方を考える練習にはなりにくい。後で通訳するときにどう役立つか、どれだけ省略できるのか、どのようなことは書かなくてもいいのか。こうしたことを考えるには流れる音ではなくて「待っていてくれる」書面のほうが適しています。

密度が濃く推敲された書き言葉ではなく、音声の書き起こしを素材にするというのにも納得します。考えながら話した内容は書いたものとは異なります。

同じ個所を使って何度もノートの取り方を検討するのは効率の良い学習方法だと思いました。

Note-taking for Consecutive Interpreting: A Short Course (Translation Practices Explained) (English Edition) 2nd Edition (Andrew Gillies)


八重洲口の向こうに高層ビルができています。

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ハナモモはきれいですね。

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2019-04-02 出張の周期

4月は出張が続きます。最近続いている埼玉県の現場に始まり、神奈川県西部、日本海沿岸北部、日本海沿岸西部、東北の予定です。疲れをうまく解消しながら対処したいと思います。

出張の日程が増えたのでそれに押されて都内のおなじみの現場に出る回数が少なくなります。今年は3月まで高層ビルでの仕事が多かったのですが…。


交通費の支出は1~3月で約15万円になりました。最近はカフェやコンビニエンスストアでも交通カードで払うので月に何度も1万円のチャージをしています。
「東北や北関東ばかり行ってるからですね」
とかつての恩師は言いそうです…。

オートチャージ可能な交通系クレジットカードを作ろうかと考えてしまいます。


仕事に出向くときに横浜から数十キロの移動で在来線のグリーン車を使うのがちょっとした楽しみです。通勤客と逆方向になるので車内は空席ばかりになり、非日常感が味わえます。資料を広げてもだれの目にも触れませんし。


タンドーリチキンやシークカバブは店によってかなり違います。北インドパキスタン系の店がおいしいようですね。東京に展開している「ケバブビリヤニ」系列は安心です。写真は神奈川県厚木市荻野の「ボンベイ荻野店」。

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2019-04-01 消費税の問題

フリーランス通訳者・翻訳者として報酬を受けると消費税法上の課税売上になります(注1)。この制度には年間課税売上が1千万円までは免税事業者になるという問題点があります。エージェントや顧客は通訳者に消費税を加算して支払うのですが、通訳者が免税事業者であれば8%の消費税はいわゆる益税として懐にポイ!なのですね。

売上に8%の「げた」を履かせてもらうのですからウハウハです。

しかし、年間1千万円を超えて納税義務者になった瞬間この甘い汁は枯渇します。通訳業者は原価率が低いため自らが負担する消費税が少ないので変化による打撃は大きいですね(注2)。


ここで悪魔の声を聞いちゃう人も出てくると思います。消費税の対象にならない給与で収入を得たらどうだろうか、と。働き方をうまく調整して、派遣社員契約社員として通訳役務を提供する部分を作るんです。年間1100万円の通訳報酬を受ける人なら、給与2百万円+事業収入9百万円にする。これなら9百万円に加算して受け取る消費税72万円は益税としてイタダキです。おまけに給与所得2百万円の給与所得控除額が大きくて所得税の計算でも有利。

こうしている人、たぶんいると思います。意識せずにこうなっている人も。

 

注1:国内取引が対象です。
注2:報酬に加算されて受け取った(預かった)消費税から自分が支払った(購入先に預けた)消費税を差し引いて納付します。


いつもの散歩道に花が咲きます。

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