50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-09-17 チャイの配合

インド風煮出し紅茶の入れ方をいろいろ試しています。

最近昼食で立ち寄った
・マサラキッチン(港区浜松町)
・スワガット(港区六本木)
のチャイに少々衝撃を受けました。昼時に安価で提供するチャイが私が作るものよりおいしく感じたからです。

自宅では科学的に試せばいいですね。つまり
・水に対する牛乳の量
・牛乳を入れてから火を通す程度(時間)
主な変動要素は以上の2点(茶葉の量や茶葉の煮出し時間は標準的なもので良いと思います)。

わかったのはいままで牛乳が少々多すぎたことです。
「何かが足りない」
と感じた理由は茶の成分だったわけですね。

インド料理店「南インド屋」の経営者が貴重な情報を公開しています。

南インド屋が本気で作った、チャイのレシピ13パターン 

 


久しぶりに歩きました。

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2018-09-16 まだまだ新しいものが出てくる

初めて通訳の仕事に出たのが 2014年3月05日でした。

2014-03-05 ソフトデビュー

この日のことはよく覚えています。どんな話をしたか、昼食をどこで取ったか、電車の駅からどう歩いたかなどなど。

それから今まで何百という現場に出てきました。人と人とが話をする場所はいつでも通訳者の仕事場になる可能性があります。

そして、今になっても新しい種類の仕事に出会います。

今年になってから数が増えた分野が2つ。

第一は戦略コンサルタントの通訳。マッキンゼーやボストンコンサルティング、ヘイ、IBM、ベイン、アクセンチュアといった「ファーム」が知られていますね。

コンサルタント能力主義の国籍混成チームでプロジェクトにかかわりますが、英語の水準は高いですね。話のスピードも速く、コンサルタントの現場の会話を聞くと通訳学校で使う教材はスローモーションのようです。運悪く初日からパナガイド(簡易同時通訳装置)を渡されたりすると通訳者はちょっと涙ぐみたくなります。

最初のうちは
「エライところに放り込まれてしまった」
と思ったのですが、すぐに話についていけるようになりました。長年親しんだ企業活動についてだからです。経営関係の本(特に実例の話)を昔から読んでいたのも助けになっていると思います。話の勢いを失わないようにして質問と回答とをしっかりとかみあわせることが大切。幸運にも「刺さる」通訳ができて顧客に感謝されてほっと一息です。

もう一つはコンサルタントとは対照的な伝統的な講演形式、その中でも学術や外交、社会問題にかかわるもの。大きなホールの椅子に同時通訳の受信機が何十個も置かれ、通訳者はブースからガラス越しに会場を見下ろす形式。普段は使い慣れない "Her/His Excellency" といった呼称も頻出です。用語にも通訳学校の副教材で詰め込んだものが多く、
「なるほど、だから勉強させたのね…」
と気づきます。正確さが第一ですが、なんといっても聞いた人がわからなければ訳したことになりません。発言者がゆっくりと話しても高品位な訳をはっきりと出すのは難しいですね。


とてもお世話になった(今でもなっている)出身通訳学校の講師は
「(通訳業は)5年で仮免許、10年でようやく水平巡行飛行」
と言っていました。そのとおりだと思います。年間2百日近くの通訳をしていても5年目でまだまだ新しいものに出会う。慣れていたつもりのことの中に新しいものが見つかることもある。


ちょっとカロリー過多かもしれませんね。ラッシーやめておいてよかった。

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2018-09-15 通訳の市場を考える

今年の日本通訳フォーラムも大成功でした。通訳者・通訳研究者・通訳学習者・エージェントといろいろな立場の方が足を運んでくださいました。3つの部屋に分かれて進行しましたが、どの部屋にも多くの参加者が入りました。


夕方の懇親会で会いたかった方とお話しすることができました。インドネシア語・日本語通訳者の土部隆行さんです。

日本会議通訳者協会のウェブサイトには多くの貴重な記事がどんどん追加されていますが、土部さんの

インドネシア語通訳の世界へようこそ 【第3回】「市場性を見極める」

もすばらしい記事です。表題にはインドネシア語とありますが、すべての通訳者にとって得るものが多い投稿です。私もいつかこのように内容の深い、それでいて読みやすい文章を書いてみたいものです。


他にも多くの記事がありますので、ぜひ記事の見出しを眺めてみてはいかがかと思います。

寄稿記事--日本会議通訳者協会

 


ベトナムの米の麺「ブン」を使った「ブンボーフエ」です。野菜はいつものように別盛り。神奈川県横浜市泉区上飯田にはベトナム料理店・食材店・バインミーベトナムサンドウィッチ)専門店が並んでいていずれも本場の味です。

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2018-09-14 知識は身を助けます

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この見出しを見て
「ははあ、なるほど」
と思う人は読む前に表題に続く記事の内容がだいたいわかると思います。

通訳を志すような人ならたいてい The Little Red Book を連想するはず。ユン・チアンの「ワイルド・スワン」にも出てきましたね。

雑誌の見出しで
「なんとなくわからない…」
と感じるときは、たいていその元となった素材を知らないときです。映画の題だったり有名な(でも私の知らない)引用だったり。


珍しく日本発祥の「インドカレー」を食べました。5年くらい前に「横浜ボンベイ」で食べたものとかなり似ています。両店とも上野にある「デリー」の流れを汲んでいるようです。

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2018-09-12 エージェンシーとの関係

最近いくつかの業務(異なる複数の客先)でとてもありがたい経験が続いています。

  • 資料が事前に両言語で届き
  • 主催者と事前打ち合わせができ
  • 音響が理想的で
  • 人前で話すのに慣れた話者が明瞭に語り
  • 同席通訳者は以前に組んだことのある親しい人で
  • 弁当がかなり上等

今年の幸運を使い切ってしまったような気さえします。

これを取り仕切ってくれたのは通訳エージェンシー。営業担当者が顧客に気に入られているから手配がうまく進むのでしょう。

通訳エージェンシーは「客に高く売り、通訳者に安く払う」存在ではありません。他の通訳者のことはわかりませんが、私はエージェンシーに業務を委託していると考えています。

私個人では売り込みにいけない客先に私の代わりに営業活動に行ってくれる。通訳の形式を相談してくれる。機材の手配をしてくれる。資料を集めてくれる。顧客から料金を取り立ててくれる。

これに対して通訳者が必要経費を通訳エージェンシーに渡している。その渡し分が気に入らないなら条件を変えて交渉するか、取引を取りやめればいい。

通訳の発注額が100、通訳者の報酬が60だとしたら、
「エージェンシーに40引かれた」
のではなく、
「通訳によって生じた付加価値100のうち40を適正な経費と考えてエージェンシーに支払った」
と考えています。結果は同じですが、考え方・姿勢は違うと思います。


資料に目を通すのに便利な場所。

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2018-09-11 待て。そして望みを持て。

アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」の邦訳「巌窟王」の児童向け版で読んだのが表題の表現。

通訳業務も世の中の多くのことと同じで
「いいこともある。だけど、そうでもないこともある」
の連続です。

報酬の高い業務が客先都合で立ち消えとなりました。初めて組んだ通訳者がとても話しやすく頼りになる人でした。以前に連絡先を交わすのを忘れて別れた通訳者と共通の友人がいて連絡がつきました。1日の業務を請けたら同じ日を含む3日連続の業務の打診が来ました。担当したかった分野の業務が複数巡ってきました。


一喜一憂せず、しっかりと仕事をする。それが大切なことはわかっていても平凡な一通訳者・一市民として心がざわざわすることもあります。

それでもなお淡々と進む。

淡々と進みながらも、判断が必要なところでは自らの大原則に従って舵を切る。判断はたいてい
 する・しない
 Aにする・Bにする
という二者択一です。

大きな方針を維持していれば、選択を何度も重ねるときにも徐々に自分の望むほうに近づいていく。


豆カレーはできた。冷凍しておいたご飯が電子レンジから出るのを待つ。豆の実力があるのでスパイスは にんにく・ターメリック粉・パプリカ粉・鷹の爪・クミン粒 のみ。

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2018-09-09 労働環境・安全・衛生

生産施設の労働安全の話は

  1. 企業にとって非常に重要
  2. 基本は共通している
  3. ひととおりの準備が比較的しやすい
  4. ただし生産そのもの・企業の事情は大きく異なる

という特徴があります。

毎月のように会議で通訳をしている超大手企業でも安全衛生の話は必ず出ます。製品Aを作るX工場と製品Bを作るY工場とでは扱う原料も施設も加工も違いますし、安全衛生の具体的なところはかなり違います。

しかし、基本は同じ。

基本がわかっていれば産業別・作業別の特徴もかなり理解しやすくなります。


私は社会保険労務士試験の合格発表を待つ間に第一種衛生管理者の試験を受けて資格を取得しました。一定規模の事業所では衛生管理者を選任する義務があるので資格保有者は何かと重宝されます(私も衛生委員会の参加者でした)。

環境(environment)・安全(safety)・衛生(health)の頭文字から「安環」、「安衛」と略されることも多いです。英語でも EHSだったりHSEだったりSHEだったりします。詳しくない米国人は「シー」と読んで通訳者を困らせたりします。


米国人が安全衛生の話をするときには同国の労働安全衛生所管官庁の OSHA を念頭にしていることが多いので、「オシャ」について少し知っておくと話の見通しが良くなります。


安全衛生の通訳では現場巡回もよくあります。ヘルメット(hard hat)に安全眼鏡(safety goggles)の着用も慣れたもの。このような個人用保護具(personal protective equipmet, PPE)の名称もひととおり知っておくと
「この通訳者はわかってるな」
と顧客の信頼も深まって仕事がうまくいきます。


工場にも行きますが、こうした場所にも行きますよ(安全衛生関係の仕事ではありませんが)。

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