50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-09-06 聞こえなければ訳せません

以前に

2018-07-22 顕著な効果--音取り用パナガイド

という記事を書き、通訳者が送信機・受信機で話者の声を聞くお話をしました。

先日3人体制で簡易同時通訳を担当しました(送信のみ機材使用)。ご一緒した通訳者のお1人はブルートゥースBluetooth)の小型マイク付き送信機と受信機とを持ち歩いていらっしゃいました。もう1人はパナガイドがバッグの中に。私もパナガイド。3人全員が「念のため」に自分の耳に音を入れるための機材を持ち歩いていました。「音取り機材」の使用は確実に広がっていますね。

エージェンシー経由の業務の場合には勝手に機材を持ち込んで使うわけにもいきません。本来はエージェンシーが見積書に含めて有償で提供するものです。通訳者が勝手に持ち込んで使うと困った前例になりかねません。
「この前来た通訳さんは受信機を使ってましたけど?」
というふうに…。


私が使ったときには現場を見て
「これではとても丸腰では聞き取れない」
と思い、エージェンシーの担当者に自前機器使用の可否を尋ねました。客先に事情を説明して円満に使うことができ大変助かりました(機材なしだったらとても聞き取れなかった距離でした)。


しかし、最も重要なのは機材やその周辺知識ではありません。気軽に相談できる関係をエージェンシーや顧客、同席通訳者と築くことが第一ではないでしょうか。周囲を巻き込んで
「さほど費用をかけずとも、もっと良い方法がありますよ」
と少しずつ広めていけたらと思います。


この方面は初めてでした…。

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2018-09-04 ダルバート

ネパールの国民食ダルバート」。ダルは豆のスープ、バートは米飯。日本の味噌汁とご飯みたいな感じです。

それに少しばかりの野菜のおかずや大根のアツァール(半発酵の漬物)を添えて食べるのが山間の基本だったのではないかと想像します。肉が手に入ったら肉のスープカレーも付ける。

東京の高田馬場や新大久保周辺がネパール料理店の集積地ですが、実は京浜東北線の大森・蒲田にも立派な店があります。

大森の「サーランギー」はネパール人が多く集まる大規模店舗。ステージもあり、夜はネパール音楽の洪水と化します…。

ここのダルバートはタカリ族の仕様らしいです。野菜と豆スープの塩味が軽く、鶏や羊のカレーにはしっかりと塩味が付いていてなかなかの組み合わせ。毎回そうですので、調理人にとって自然なのでしょう。


ダルバート。昼夜同価の 1,000円(飲み物つき・税共)。豆・鳥・じゃがいも・青菜・大根の半発酵漬物・トマト岩塩ペースト・にんじんときゅうりの薄切り。意外と量があるサラダと飲み物が付きます。

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2018-09-02 整理をつける

他の仕事から若い時に通訳業に転進した方とときどき組むことがありました。ある日、休憩時間にこんな話をしてくれました。

部屋でいちばん若い私が社長レベルの人の通訳をするわけです。部屋で英語がわかるのが私だけ。だから、なんとなく自分も重要人物になったような気がしちゃうもの。 今思うと自我が良くない方向に拡大していたのはまちがいない。

いわゆる「消したい黒歴史」と感じているわけでもなく、冷静に振り返っていらっしゃいます。私も将来きっと自分について思い当たることが何か出てくることでしょう。そのときにはこの方を見習って落ち着いて受け止めてみたいと思います。


通訳を志すずっと前に食べたことのある店。現場の近くだったので思い出しました。タンドーリチキンと野菜カレーがとてもおいしい。

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2018-09-01 最後の日

ブログ「定年からの通訳デビュー」に「ジ・エンド」という記事がありました。

通訳に行くとき今日で「ジ・エンド」かなと思いながら出かける。 

同じことを考えていらっしゃるなあ、と妙に納得しました。

2017-06-09 今日こそ「その日」かもしれない 


薄味でとてもおいしい弁当でした。野菜や魚の歯ごたえも気持ちが良い。いつもありがとうございます。

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2018-08-30 超えた

通訳業務はエクセルの表で記録しています。今後の業務も先日付でどんどん書き足しているので、いままで照会のあった業務がすべて確定した場合の年間売上を常時把握しています。交通費も入力し、源泉徴収税額も自動計算しているのでそのまま確定申告の資料になります。エージェント毎の受注件数や単価もグラフで表示しています。

通訳報酬は

  1. 狭義の通訳報酬(日額と時間超過分)
  2. 各種手当(移動拘束費・日当・作業手当)
  3. 実費(交通費・宿泊費・その他業務日)

に分類しているので年度ごとの比較が容易です。管理指標には上記1を使っています。IFRSで言う「コア利益」みたいな感じですね。


新しい年度が始まる前に自分なりの年間目標を手帳に書き出しています。狭義の通訳報酬の金額、業務日数、業務の内容など。

8月が終る時点で今年の通訳報酬が昨年の年間分を超えました。今後引き合いが来て確定するものが前年比純増となるわけです。件数は微増ですが、単価が伸びたことが大きく影響しました。

通訳者の所得の計算は簡単で
単価 × 件数
です。年収を増やしたかったら報酬の高い仕事をするか件数を増やすか、あるいはその両方です。


単価の追及は非常に重要だと思います。

  1. 顧客によって価格に対する考えかた・感応度が違う。法律事務所・戦略コンサルタント・高級嗜好品といった業界では通訳報酬が10万円でも20万円でも「誤差のうち」ということもありえます。ホテルの従業員にロレックスの時計をチップに渡す大富豪なら通訳報酬が百万円でも気にしないかもしれません。いっぽう費用管理に厳しい業界では通訳報酬に向ける目も厳しい。
  2. たとえば6万円の仕事を2日するのと3万円の仕事を4日するのとは同じ収入を生みます。それだったら日数を減らして業務の準備・日常の学習・余暇・家事に時間を使ったほうが仕事にも生活にも良いことがありそうです。通訳業界では報酬は必ずしも業務の難易度に対応しませんし…。私が以前勤務していた企業の幹部はこう言っていました。
    「仕事をしないでカネをもらうのが最高、仕事をしてカネをもらうのがその次。最悪は仕事をしてカネをもらい損ねることだ」
    仕事をすれば瑕疵担保責任も生じます。厳しい競争を経験した人による含蓄のある言葉だと思います。
  3. 人間は高い対価を払ったものを「良いものだ」と感じる傾向があります。対価が価値を決めるというわけですね。無料でもらったものは大切にしませんし、それなりの対価を払ったものは大切にします(ブランド品や高級車が典型です)。通訳にも同様なことがある程度あてはまるように思います。
    「けっこう高かったけど、それなりのことはある。さすがだ」
    と言われるように技能を高めて立ち居振る舞いも洗練させたいものです。


私にとって新幹線とは東北や上越です…。

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そしてこのような駅に着くのです。

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2018-08-29 部活動・仲間との語らい

仲間と東京駅八重洲口近くの「ダクシン」でミールス南インドの定食)。基本となるラッサムやサンバルはもとより、キーマもとてもおいしかったですね。野菜サラダとチキンティッカをチャパティで包んで食べるとおいしいですよ。ちょっと「サブウェイ」みたいで。

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遠方から来たお友達は初めて指で食べたそうですが、自然な感じでした。もうどこに出しても恥ずかしくない…。


その後私は新幹線で移動。夕食は前回の出張の際に食べた店。ここもおいしいんです。中心に写っているのは野菜の衣揚げ(パコラ)。ピンク色のはデザート(ローズシロップたっぷりのヨーグルト)。グリーンチリのカレーに入っているパニール(インドのカッテージチーズ)が自家製でとてもおいしい。黄土色のカレーはチャナ(ひよこ豆)です。昼に肉入りのミールスで夜は北インドの菜食と節操のない食事ですが、日本人の特権(のぞき見主義)ということで…。

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2018-08-27 A Super Day

もうすっかり日本の通訳界で知られる存在になった日本通訳フォーラム。

今年は昭和女子大のすばらしいホールを3つ使って基調講演+12セッションという大イベントになりました。来場者は200超。今年は以前にも増して通訳者(社内・フリーランス)の参加が多いように見受けました。

基調講演は鶴田知佳子さんでした。豊かな第一線の経験から通訳の根本的な課題に新たに光を当てたお話で、聞き終わってからじわじわと「効いてくる」講演でした。

私はホールBの担当で4つの講演を聞きましたが、A・Cの講演もすばらしかったと聞いています。

英国在住の通訳者が他の用事と調整して3人も来日参加してくれました。ソーシャルメディアで写真を見慣れているせいか、初対面でもそんな気がしませんね。

今年で4回目ということもあり、講演者・参加者・主催者の間の距離が実に良い感じに縮まってきたように思います。意見交換をし、あるいは旧交を温め、さらには仕事の依頼につながる出会いもあったようです。


出発前。カフェ・ド・クリエの朝食は初めてでした。また行くかも。

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