50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-04-30 競争は常にそこにある

競争はそこここに常に生じています。

たとえば、通訳を志望する人が
「どの通訳学校に通おうかな」
と考え始めた瞬間に各通訳学校は選択の対象になります。

選択がある限り競争が存在します。

通訳学校は自らの特徴をなんとかして効果的に伝えようとし、受講者はそうした情報も使って判断を下します。

日常にも競争は起こっています。スーパーマーケットで牛乳を買うとき、牛乳Aと牛乳Bは自らの利点を訴えて競争しています。
「おいしいよ」
「安いよ」
「高いけど安全だよ」
「あなたのライフスタイルに合っているよ」
と自らの優位性をパッケージや店頭POPで必死に訴えています。


通訳サービスを使う顧客も選択をします。
「どのエージェントから見積もりを取ろうか」
「複数の見積もりを取った。どこに発注しようか」

通訳エージェントの通訳者引き当て担当(コーディネイター)も選択を迫られます。
「どの通訳者に声をかけようか」

引き当て担当者が最初に思い浮かべる通訳者に連絡が行くのです。エージェントによっては何かシステムを使っているかもしれませんが、おそらくほとんどの場合は個人の記憶と判断によるはずです。
「この顧客(この業務)ならあの人かな…」
と名前が浮かべば(顔も浮かぶとさらに有利かもしれませんね)その通訳者に照会のメールが届くのです。

ここで名前を思い出すのはどのような通訳者なのか。あまり考えなくてもいいことかもしれませんし、時々は考えてみる必要があるのかもしれません。


通訳養成機関「インタースクール」で大変お世話になった(現在もお世話になっている)講師が学期の終了時に声をかけてくれたのを覚えています:
「Shiraさん、市場が必要とすれば Shira さんに仕事が来ますよ」

「市場が必要とすれば」というのは、すなわち「市場が選んでくれれば」ということ。これはすなわち
「他の通訳者ではなく『あなた』を使うインセンティブが顧客やエージェントに働けば通訳者として世に出られますよ」
というメッセージだと受け取りました。

だからといって当初は自分の強さは何だろうと悩む必要はありません。なんといっても大切なのは
「顧客・エージェントの心配を取り除くこと」
つまり
「その日・その現場を無事に収めること」
です。通訳サービスならまず第一に
「ちゃんと訳す」
ことでしょう。そして、これがとてつもなく難しい。まずここに注力して、その他のことを考えるのは業界でなんとか泳ぎ始めたらでいいのかな、と思います。


暖かくなると日が傾くころも気持ちが良いですね。

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