昨日に引用したインタースクールの講師には他にもいくつか記憶に残る言葉をかけてもらっています。
(定年後の)小遣い稼ぎではなく、堂々とした通訳者人生を送るのなら(以下略)
「目先のこと(通訳学校で進級する等)ではなく、もっと先を見て努力せよ」
という文脈だったと思います。
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社内通訳者の経験なしにフリーランス通訳者の道を選んで4年が過ぎました。業務回数は約 640回になります。
2014年 102(3月から)
2015年 136
2016年 151
2017年 191
2018年 061(4月まで)
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仕事に出るとフリーランスの恐ろしさも少しずつわかってきます。まず、一度引き受けたら自分で担当する必要があること。急用ができた・体の具合が悪い・電車が止まったといった事情があっても他の人では簡単には代替がききません。これは簡単に理解できます。
それに加えて最近意識しはじめたのは評判の恐ろしさ。顧客の期待に背くと再度呼ばれなくなる仕事が増えていくはずです。そうして失った仕事は他の通訳者が担当し、入れ替わりが進むことになります。
「この通訳者は以前に問題があったけど、もう一度使ってみようか」
ということはめったにないだろうと思います(私が発注側だったら再発注はしない)。
インタビューやブログ記事で
「やめずに続けていたからなんとかなった」
という内容を目にするときがありますが、その
「続けて」
は自分では決められないことも多いのです。生活を維持できずに退場を余儀なくされるから。個人経営のラーメン店やカフェを想像してみてください。
「続けていけばなんとかなる」
と単純に言えるかどうか。続けたくても続けられないから姿を消していく。飲食店は開業後10年で営業を続けているのは10%と言われています。この数字は私の感覚とも合っているように思えます。
「続けていけば」「少しずつでも前に進む」のは大切なことです。他の人と比べる必要がないというのも一面の真理。
しかし、市場では「前に進」んでいるかどうかは常に相対的に測定されることを忘れてはいけませんね。他の人も進んでいるのです。私より後に通訳学校に入った人がもう同時通訳ブースで私のパートナーになっています。前に進むのはあたりまえで、選ばれるためには(市場に拾ってもらうためには)「時速何kmで進むか」が問題です。時速 20km で進んでいる人から見ると時速 10km の人は
「時速 10km で後退している」
わけです。
外国語(特に英語)を相当程度自由に使う人は増え、通訳サービスに対する期待は年々高くなっています。人工知能による言語サービスも伸びるでしょう。皆が下りのエスカレーターを登る努力をしている。
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南アジア料理部の部長として調理方面にも進出しています。丸のままのスパイスと粉スパイス。
いや、もう、すばらしい香り。マジックです。シンフォニーです。これはムスリム式チキンカレー(主役はたまねぎとヨーグルト)。前日に作った豆カレー(豆とバターの風味)と重ならず、2品並べて最高でした。
製法は渡辺玲(わたなべあきら)さんの動画・ブログから。渡辺さん、ありがとうございます。