50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2020-04-28 等身大を見よう

見かけの新しさに目がくらむことのないように、というお話です。


遠隔同時通訳(Remote Simultaneous Interpretation, RSI)の経験をしました。とりあえず感じたのは次の点です。

同時通訳は同時通訳。何かが決定的に違うわけではない。会議室の通訳者ブースが離れたところ(=自宅)にあると想像すればいい。

  • 機器の操作感覚が違う(物理的なスイッチ操作の代わりにクリック)
  • 雰囲気音声がない(マイクが拾う音しか聞けない)
  • 視覚情報が限られる(すべて画面を通じて)
  • パートナー通訳者との協力に制限がある

機器構成の基本的な理解があると大きな助けになる。

  • どのマイクロフォンが誰の声を拾い、どのような経路でどのスピーカー/イヤフォンを通して誰がその声を聞くのか
  • 言語切り替えや通訳者切替の操作で上記の伝達経路がどう変わるか
  • 自分が使うコンピューターの基本設定に親しんでおく(省電力モードの解除、オーディオデバイスの選択、バックグラウンドプロセスの停止など)

会議参加者(顧客)の理解と協力があるとうまくいく。理想を言えば従来から付き合いのある顧客・エージェント・パートナー通訳者と事前演習をすれば全員が学ぶものがあるし、本番も滞りなく進行する。


RSI専用のプラットフォーム(interprefy、KUDO、Interactio)はかなり同時通訳コンソール(操作卓)に似た操作感覚です。元々が同時通訳用ではなかった会議システム Zoom の同時通訳機能はまだ開発途上という感じで、いろいろと制限があるので設計思想をよく理解して運用方法を考える必要がありますね。


携帯電話や無線LANで電波が狭い部屋を飛び交うのでネットワーク接続は有線が安心。RSIサービス提供会社も有線LANを条件にしているようです。

意外に大切なのが机の広さ。主PC、副PC、マイク、スマートフォン、紙の資料、ノートでいっぱいになります。


2011年4月にはまだ中型二輪スクーターに乗っていました。

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