50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-02-25 課題がわかってきた(いまさら)

通訳学校の最後の最後、補講での私の出来は納得できるものではありませんでした。通訳を聞いてもらうせっかくの機会だったのですが。

以前から気になっていた弱点を再び強く思い知りました。

日本語でも英語でも、文が「マトリョーシカ」(入れ子構造)になっているときが私にとっての鬼門です(だれにとっても難しいのでしょうけど)。

具体的にはこんな文です。文の構成がやや崩れていますが、話し言葉ではこんなことはよくありますね。

こうしたインターネット技術の発展と携帯電話網の一般化とによって、地元の新興企業が、今まで銀行を使ったことのない多くの人々が恩恵を受けるサービスを展開する可能性が生じるきっかけとなったのです。

(ブログ作者による創作です)

こうした文章は

  • ノートを取るのが難しく
  • 意味を整理するのが難しく
  • 英文に再構成するのが難しい

と思います。逐次訳なので「エレガント」に訳してみようと判断したのが失敗の原因でした。そもそも原文の係り結びが少しおかしい。
「『インターネット技術の発展』と『携帯電話網の一般化』を主語にしようか」
「えっと、『可能性が生じるになるきっかけとなる』が述部だな」
「おっと、『展開』が『可能』になるのか…」
一瞬のうちに(無意識に)こんな逡巡をしたら逐次訳でも深みにはまってしまいます。私の実力ではエレガント作戦を選んではいけなかったのです。

「ぶつ切り」風でしのぐべきでした。やや稚拙ですが、次のように言っておけば話を前に進めることはできたはずです。

Advancement of Internet technology and popular use of celullar phone network have given local startups new opportunities. These firms can develop new services that benefit many poeple who have never used a bank.

「あ、こりゃ難しい」
と思ったら、意味を分解して小分けで出すことを躊躇してはいけないのだと思い知りました。かっこいい訳文は復習でじっくり身に付けることにします。