内容になじみがあるとどれだけ楽かという例を取り上げてみます。以下の文なら1度読めば日本語でほぼ完全に再現できるのではないでしょうか。China を主語にして英訳するのも容易だと思います。
市営企業を容認し、外国企業を招き入れ、世界貿易機関(WTO)に加盟し、金融制度も少しずつ自由化してきた。文字数はさほど増えなくても、以下の文だと1回読んだだけでの再現がぐっと難しくなる気がしませんか。
(朝日新聞社説 2014-01-29)
建国以来の国富を消失したといわれる文化大革命の後、80年代から成長を続けられたのは、計画経済から市場経済へと近づく努力を積んだ成果だ。後段で「近づく」「努力する」「積み重ねる」「結果になる」と、重要な要素が4つ出てくるのがやっかいです。第1例には書き手の判断はほとんど入っていませんが、この第2例には筆者独自の表現なのでさっと読んで記憶に留めるのが難しいのだろうと思います。
(同)
通訳では話し手の考えを伝えるために意図をできるだけ脚色せず・損ねず取り込むのですが、これが簡単ではありません…。
地道に練習していきます。