50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-01-16 災い転じて…

以前にとんでもない目に遭った出張がありました。ホテルから歩いていったインド料理店の
「タンドーリチキンサラダ」
なるものがこんなシロモノだったのです。

f:id:shira-j:20180116203702j:plain

マヨネーズですよ、マヨネーズ。それも星型の口金のまま!

私はたいていのものはおいしく食べますが、マヨネーズだけはダメなんです。人生五十有余年をかけてなんとかマクドナルドのフィレオフィッシュのソースくらいは受け入れるようになりましたが、「マヨそのまま」は絶対にだめです。

この日は静かな怒りを以てこの皿には全く手を付けずに店を去りました。


そして数か月後に同じ場所への出張。別のものを頼めば大丈夫と、また同じ店に出かけました。

f:id:shira-j:20180116204200j:plain

おいしいじゃあないですか。ダルタルカ(豆のカレー)もインド人の調理らしくちゃんと「熱した油をじゃーっと」かけた香りがします。


店の人が小さな包みを持ってテーブルにやってきました。
「ただいまキャンペーンでチーズナンをお持ち帰りいただいています」
「明日の朝食にどうぞ」

触ったら焼きたてです。チーズナンは温めなおしても食べられるけど、出来たてがおいしいのは間違いありません。店内で半分食べちゃいました。

そして会計の時になって店の人がこう言います。

「(セットと別の)チャイ(インド風ミルク紅茶)はサービスにしておきますね」

「いや、私は酒飲まないから、売り上げが立たずに申し訳なくて注文したんです。ちゃんと勘定に入れておいてくださいよ」

「お気持ちだけ頂戴しておきます」


マヨネーズの恨みは雲散霧消です。ほかほかのチーズナンをもらって、おいしいチャイを無料で飲ませてもらいました。

翌日の朝食はホテルの電子レンジで温めた熱々のチーズがとろーりと溶け出るチーズナンでした。


さらに、翌日の通訳業務は無理難題が山積みだと思っていたのですが、実はかなり対応しやすい仕事でした。

禍福は糾える縄の如し。

2018-01-15 視野を広げる

日本会議通訳者協会のウェブサイトに
【第1回】欧州通勉事情「ヨーロッパでの通訳勉強~はじめの一歩」
が掲載されました。

連載初回から非常に興味深い情報がありました。たとえば以下の部分など。

毎日ほぼ即興のミニスピーチをクラスメートの前でさせられます。当初は「通訳のコースなのになぜスピーチ?」といまひとつ納得がいきませんでしたが、実際の通訳の現場では、これが実に役に立つのです。

私の場合、Toastmasters International の活動でスピーチを練習し、他の人のスピーチを建設的に評価する訓練をしたことがあります。通訳学校で他の若い優秀な仲間になんとか伍していけたのもその助けがあったからだと思います。通訳者は「お伝えする」のが役割ですから。


ヨーロッパは国際会議の本場。EU加盟国で使われている言語が常時飛び交い、同時通訳されています。こうした意味での国際会議は日本ではあまり開かれませんし、ひょっとすると減少傾向かもしれません。成田空港から都心まで1時間半かかり、移動も食事も言語の障壁のために外国人にはまだまだ難しい日本。いっぽう地域まるごと国際会議場のようなシンガポールや香港。英語を使えばほぼすべての用が足ります。日本で使っている「会議通訳」という用語は中身がすでに変化してきているかもしれません。


EUの通訳予算を調べてみたことがありますが、大変な額でした。それだけに通訳そのものの研究も進んでいるようです。

日本では日本独自の形態で通訳市場が形成され、その中でかなり良質な通訳が行われているのは事実です。それはそれで認めつつも、
「よそではどうなのだろう」
という姿勢も必要だろうと思います。現在自分の周辺はそれなりに完結していると感じても、それは単に外を知らないだけということもあり得ますから…。


以前に紹介したアルク社のウェブサイト「翻訳・通訳のトビラ」の「現役通訳者のリレー・コラム」にある
【第5回】アメリカの大学院の通訳訓練法
も有用な情報を伝えています。


青空はいいですね。

f:id:shira-j:20180114225058j:plain

2018-01-14 来るものを拒まなかったら

通訳の仕事は先に打診をいただいたものから予定していきます。これが通訳者にとっての「商人(あきんど)の道」。後からより魅力的な仕事を持ちかけられても先約優先。この原則を崩すと止まらなくなり、信用を失います。

通訳業務はこれでいいのですが、その他のこともどんどん請け負ってきました。講師や同業団体の企画や事務など。

手帳に予定を書き込んでみたらかなり密度が高くなっています。何にでも対応してしまうのはそろそろ考えなくてはいけませんね。

 


久しぶりにアオサギを見ました。写真に入っていませんが、左下の草の陰にコサギが餌をあさっています。

f:id:shira-j:20180112202937j:plain

2018-01-13 カタカナになった英語は要注意

カタカナになった英語には注意が必要ですね。

  • 「ブラッシュアップ」
    brush up です。ブラシをかけるんです。元の状態は良いんです。ほこりが積もったからそれをはらう。ですから  brush up my English は
    「(使えていた英語を放置していたので)少しすすはらいをする」
    という感じ。これから学習する人が言うことではないようです。
  • 「チャレンジ」
    これは良く知られていますね。辞書を見れば日本語の「チャレンジする」にあたる用法がないのはすぐにわかります。
  • 「ハードルを上げる」
    このブログで以前にも書きましたが、ハードルの高さは一定です。上げるのは高跳びの「バー」。
  • 「レッツ」
    let us ですから、自分も対象です。人に何かをさせるときには使えません。

 


毎年同じような写真を撮っていることに気づきます。それもまたありがたいこと。
夕日が…。

f:id:shira-j:20180112201517j:plain

 

インド南部のケーララ州出身の調理師だそうですが、昼は北インドの料理を出しています。「この料理はこういうものだ」という基準がしっかりしています。

f:id:shira-j:20180112201705j:plain

2018-01-07 不思議な業務

年が明けてからの2種類・計4日の仕事はめったにない不思議な体験が続きました。

まあ、いろいろなことが起こります。


新宿区大塚に近い人をうらやましく思います。

丁寧に作る北インド料理の有名店「やっぱりインディア」と本格的ネパール料理店「ダルバート」とがあるのですから…。

「やっぱりインディア」の定食。キャベツの和え物(中央)やヨーグルトの一品(左上)といった脇役もとてもおいしい。

f:id:shira-j:20180105223156j:plain

ダルバート」のスペシャダルバート。羊も鶏も不思議なほどおいしく煮えています。経営者によると
「シェフは魔法使い」
だとか。納得します。

f:id:shira-j:20180105223408j:plain

2017-01-06 決断を迫られる

自営業者の仕事では
・自分の裁量の幅がとても広い
・他者に左右される感じが少ない
ことが特色と言えます。

出席を求められる会議もありませんし、いつまでに何を提出せよという組織内の指示・依頼もありません。計画を立てるかどうかも自分で決められます。

そして何より、通訳を例にとれば
「どの仕事を請け負い、どの仕事を遠慮しておくか」
もほぼ 100% 自分で決めることができます。そしてその結果も自分の身に及びます。

企業勤務が長かったのでこの「自由」は本当に気持ちのいいものです。
・何かから離れる自由(free from/of)
だけではなく
・何かをする自由(free to do something)
があります。


しかし、昨年末から私にとっては難しい選択が続きました。
・仕事AをすればXということになりそうだ。
・仕事Bを取ればYということになるだろう。
こうした選択は数式で解くようにはいかないものですね。起こりうることを紙に書き出してみてもなかなか決められない。

自分の行動指針・原則に従うのが第一のことですが、それでも選択が難しいときがありました。世の中「あちらを立てればこちらが立たず」ということばかりです。

ひとつ確かなのは、目先の損得だけを見てはいけないことでしょうか。


仕事先でこのブログの読者に会いました。幸い(?)近くに南インド料理の店がありましたので南アジア料理部の部員獲得運動を実施です。人生初ミールス(完全菜食)ですが、おいしそうにきれいに召し上がって店の人も感心していました。

この店のミールスは一般の外食産業の常識から考えると少し冒険的です。味は薄く、スパイスも尖らせません。最初の一口で
「おいしい」
「なんだかわからないけど、すごい」
と言わせるつもりはないようです。

南インドのどこかの州の、村の集会で作る食事はきっとこのようなものだろうと思います。さっぱりと食べ終わりました。

こうした「淡いミールス」の旗手は東京都大田区の「ケララの風 II」ですね(今回行ったのは同店ではありません)。地道に営業を続けて消費者の理解を広げ、最近では週末では行列が普通になりました。※ ちなみに「ケララの風 I」は存在しません…。

2018-01-04 自主練(南アジア料理)

思わぬところにパキスタン料理店がありました。パヤが通常メニューに載っているとはびっくりです。チャパティはタワ(鉄板)で焼いていて、「てろん」とした家庭的な仕上がりです(タンドール--壺窯--で焼くと「ぱりっ」とします)。

パヤにはしっかり油の層が浮いていてスプーンで汲みだせるほどです。パキスタン料理といっても地域で大きく異なるようですが、日本のパキスタン料理店はインドに近い地方の料理を出すようです。とにかく肉と油!

骨付き肉というよりは「肉付きの骨」はお約束ですね。

 

f:id:shira-j:20180103211359j:plain

f:id:shira-j:20180103211504j:plain

f:id:shira-j:20180103211536j:plain