発言者は何か言いたいこと・伝えたいことがあって言葉を発します。
聞き手(通訳者含む)は発言者とは別の人間です。
ですから、発言者が選んだ文の構成や表現が聞き手にとって最も受け取りやすく内容が伝わるものかどうかは確実ではないでしょうね。たいていの場合は微妙に、あるいは大きく、理解不足や誤解が生じているはずです。
教材を使って通訳の練習をしていたら、3回目に私の理解が間違っていたことに気づきました。当然訳文も大きく変わります。
「そうか、そうだよなあ。なぜ気づかなかったんだろう」
ちょっと「虫眼鏡」で言葉を追いすぎていたようです。
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話者の意図は言葉に表れるはずだ(だって言葉の他には何もないし)
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細かい点に注意を払って言葉を漏らさずすくい取ればわかるはず
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それでも読み違いがあった
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話者の話には「流れ」があるのを少し見失っていたようです。今訳している部分の前には何を話していたか。そもそもこの「場」の位置づけは何か。話者の立場は。聞き手はどんな人なのか。
インタースクールの授業中に講師が言ったことを思い出します。この講師が自ら通訳訓練を受けていたときに注意を受けたときの逸話です。
「ことばにしがみつこうとするより、(気分的に)上半身を後ろにそらせる感じで聞いてみればどうか」
そんなつもりで聞くと、入ってくるものが多くなるかもしれません。