50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-05-27 よい機会

出身通訳学校系列以外の通訳エージェントとのおつきあいは通訳者の紹介によるものばかりでした。

そうした通訳者と出会うのは現場が主ですが、それ以外にも日本会議通訳者協会や日本翻訳者協会(JAT)のイベントでも知り合っています。

自ら動くと出会う確率も増えますね。

そのような絶好の機会がまたひとつ。2018年06月09日(土)東京都府中市にて。

第1回 JACI同時通訳グランプリ 観覧と懇親会

 

2018-05-23 仲間に会う

いろいろと事情があり、本来入らない予定だった業務に入れてもらったら通訳学校で同じクラスにいた方と一緒になりました。修了してからもう3年。

元気で活躍していらっしゃる。こうして同じ現場に立てるのも本当にありがたい(文字どおり「有るのが難い」ことなのかも)。

それぞれの仕事ではいろいろなことがあるけれども、均(なら)してみるとだいたいのところになってるよね、などと話をするだけで気分が落ち着いてきます。


サボテンを3月に株分けして少々「いじめて」しまったのですが、花が咲きました。されにうれしいことに、友人に引き渡した子株も花芽を付けています。日光の下でもとてもきれいですが、月光に映える姿も忘れ難い。

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2018-05-21 過剰に反応しない

商売をしているといろいろなことが起こります。
「それはちょっとひどくはないですか?」
ということもないわけではない。

そうしたときにすぐ反応せず、まず一息入れることに慣れてきました。

先日も
「商いの道として、それはないでしょう…」
というような事態になったのですが、とりあえず急を要しない(= どうしようもない)状況だったので少し待ってみたら、思いもかけない方向から助けの手が伸びてきました。世の中何が起こるかわからないものです。また、相手のせいで自分が不利益を被ったときには上手に「貸し」を作っていくしぶとさも必要かもしれません。
「わかりました。じゃ、次回は倍返しね!(ウソウソ)」
というやつです。


南アジア料理部の自主練。今回はパキスタン料理の名店、日本橋の「ナワブ」に呼んでもらいました。人数がそろうといろいろ食べられていいですね。写真はいろいろ教えてもらっている調理の達人のものを許諾を得て使用しています。※今回の料理はメニュー外の特別料理です。事前打ち合わせをすると平日の昼以外は対応してくれます。

ドレッシングがさっぱりとおいしい。

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揚げてから蒸した鶏。ホロホロです。

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カーブル風プラオ(炊き込みご飯)。豆に見えるのはアーモンド。マトンごろごろ。

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カブとマトン。カブがうまみを吸ってたまらん…。

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タンドール(壺窯)で焼いたロティ(全粒粉の未発酵パン)。うっとりする香り。

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今回人気の高かったマトンの煮込み。味が他と違います。

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そして宴席には欠かせないマトンカラヒ(マトン鍋)。ロティとこれを交互に食べると止まらないおそれが…。

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2018-05-19 通訳はサービス業

そりゃそうです。物品を売っているわけではありません。求めに応じて役務を提供し、報酬を得ています。

フリーランス通訳者として役務を提供するのですから、労働法が整備される前の工場労働者にも似て
「ケガと弁当は自分持ち」
です。

□月△日に〇〇という場所で通訳をしてほしいという顧客の募集に応募したのなら、「〇〇という場所で通訳を提供する」という役務まるごとが通訳者の業務範囲になる。移動・宿泊・食事その他は原則としてすべて通訳者が用意する。エージェントや顧客が用意するのはあくまでその例外だというのが出発点。ですから事前に打ち合わせもしないで
「食事が出ない。通訳者だって人間だ。メシぐらい食うのがわからないのか」
「どうして通訳者にはミネラルウォーターが出ないのか」
「公共の交通機関がない。どうしてくれる」
という文句を言うのは的外れだと思っています。顧客が買うのは通訳という機能であって、人間まるごとではありません。私たちが観光バスを手配するときに運転手の食事のことを(あまり)考えないのと同様ですね。


初めての現場で食事について特に指示がない場合には当座の飲食物をバッグに忍ばせておきます。工場から出られないかもしれませんし、時間の都合で顧客が食事をしないかもしれません。最近もこのおかげで助かったことがありました。

通訳エージェントの営業の方には交通手段・宿泊・食事・休憩についても顧客と打ち合わせておいてほしいと思います。そして通訳者に渡す業務依頼票に提供の有無・費用負担の有無の欄を作ってもらうとありがたい。コンビニで昼食を買っていったら弁当が用意されていたりレストランを借り切った昼休みで通訳者の席がなかったりということがありました(バスの運転手さんが車内で食べさせてくれました)。


株分けをしたサボテンの小さな玉からも花芽が出ました

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2018-05-17 山あり谷あり

すっきりと晴れた青空のような気持ちで現場を後にすることはなかなかないですね。

・あそこがいまひとつだった…
・ちょっと理解が足りなかったのではないか
・あっちのほうの意味だったのかも…
・もっと抑え気味の表現でよかったな

かなり重圧を感じていた業務が無事に終わって顧客に高い評価をもらうこともあれば、慣れているはずの分野で意外に苦戦することもあります。

通訳の仕事は1つ1つが本当に予測のつかないことばかり。


反省して改善案を考えることは必須ですが、自分を責めるのはよろしくない。私の姿勢としては
「無理に気持ちを明るくしよう・前向きにしようとする必要はない。あまり深刻にならずに、しかしまじめに考えよう」
という感じでしょうか。


日本語の「リニアモーターカー」はあまり通じませんね。英語は日本語よりも文字の本来の意味が優先される気がします。
linear   直線の
motor    発動機・電動機
car   車両

つまり、回転運動ではない発動機を使った車両。磁気浮上して超高速で走るとは説明していません。都営大江戸線の車両はリニアモーター駆動ですよ。

レールの間にあるのがリニアモーターの地上側素子。

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2018-05-13 インド英語攻略法

IT関連の通訳だと話者にインド人が入る割合がかなり高いと思います。インド人の英語には日本人通訳者にとって難しくなる要素が多いですね…。

  • 物心ついたときから使っている準ネイティブスピーカーが多い。そのため自信満々でどんどん話す。
  • インドの諸言語が相互にかなり異なるため、「インド英語」は実は「ヒンディ英語」「ベンガル英語」「カンナダ英語」「マラヤーラム英語」「タミル英語」(以下略)…。つまりフランス人・ドイツ人・イタリア人・スペイン人その他がいるようなもの。アクセントは相当異なる。
  • たくさん話すことは良いことだ、というのが常識らしい。

ということで、慣れるしかない…。


しかし、哀れな日本人通訳者にもできることがあります。それは
「ここにいる日本人は通訳者を通してしか皆さんの話がわからないのです」
ということを意識してもらうこと。そうすれば(わずかでも)話はゆっくりになり短くなる可能性があります。

そのためには通訳者のお願い(ゆっくりね・短くね・はっきりとね・すっきりとね)を聞いてもらう必要があります。

Q:そのためにはどうしたら良いか
A:お友達になる

ということで、私は食べ物の話で相手に近づいていきます。IT関係だと南インドの方が多いので、
「出張たいへんですね」
「日本のインド料理店に連れていかれましたか?」
「どろっとしたカレーとナンばかり食べさせられて参っちゃいますよね!」
(インド人さん激しく同意)
「そろそろ朝食にイドゥリとか、昼にサンバルとか食べたいでしょう?」
(再び激しく同意。そして、「この日本人通訳者、なぜそんなことを知っている?」と不思議そう)
「このあたりにも南インドの料理を出す店がありますよ」
「大久保に行くとソナマスリ米も買えますよ」

このあたりでもうすっかり「仲間」です。以前に仕事の後に一緒に食事に行ったこともあります。運が良いと
「ああ、私の音声は通訳者を経て伝わるんだな」
と意識してくれます(意識しても早口は変わらないことも多いのですが)。

南アジア料理部の経験がこんな形で役に立つとは意外でした。


灰色のカレーはパニール(インドのカッテージチーズ)とコーンです。代々木の「アヒリヤ」。ナンもおいしく焼けています。わかりづらい入り口ながら昼は満席。これは典型的な北インドの料理。

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2018-05-12 両方を知るから

フリーランスの通訳業が本当に楽しく、自分に合っていると日々実感しています。ありがたいことです。

企業勤務経験が長かったこともその理由の一つかもしれません。対照的な世界を体験したからこそ両方の良いところが自分なりにわかる気がします。

毎日違う時間に家を出て異なる場所に向かう。新しい場所・新しい人・あたらしい内容。これが適度で健康的なストレスとなって
「よし、また行こう」
という活力を生みます。


赤坂のインド料理店 The Spice の昼は手軽でなかなかおいしい。アルーベイガン(じゃがいも+なす、写真の右)が選べるのもいいですね。米飯は長粒種でカレーによく合います。

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