50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-04-26 放念の謎

「ご放念ください」という、他ではあまり聞かない表現が通訳業界にはあるようです(辞書に載っている立派な日本語です)。

  1. 通訳発注者が通訳エージェンシーに見積りを依頼
  2. 通訳エージェンシーは受注した際に派遣する通訳者を押さえにかかる
  3. 通訳エージェンシーは「未確定ですが」ということで通訳者に派遣を仮依頼
  4. 価格やその他の理由で顧客はエージェンシーに発注するに至らず
  5. エージェンシーは通訳者に「案件消滅です。ゴメン!」と連絡
  6. 通訳者は難しい仕事が立ち消えてなんとなく安心してみたり、ぽっかりと空いた手帳の日付欄を見て溜息ついたり、開き直って平日の映画館に行ったり、今月の収入を暗算したり…


通訳エージェンシーから通訳者への断りの連絡に使われるのが
「ご放念ください」
なのです。通訳エージェンシーが本発注に至らないのを「リリース」と呼ぶこともあるようです。一方、通訳業務を開始してから客先都合や通訳者の問題で通訳者を解放する(お引き取り願う・追い出す)ことが「リリース」だと聞いたこともあります。

エージェンシー毎でもいいので、メール連絡に使う用語の定義を明確にすると誤解がなくなるように思います。契約は双方対等とはいえ、やはりどうしても発注者側の都合が通ることが多いですから…。