50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2012-05-26 リテンション(記憶)

通訳学校では講師が受講者を指名して通訳させる練習が中心です。 聞いていると楽にわかった気がして、いざ訳を出そうとするとわからないということがけっこうあります。 通訳のためには短期的な記憶が大切なのだろうかと思いました。 しかし、やや長い文を通訳するときでも、内容が身近だと簡単なメモを元にかなり忠実に訳出できることがあります。単なる記憶容量や速度の問題ではなさそうですね。 この問題については「通訳席から世界が見える」(新崎隆子)にすばらしい記述がありました。
これまで十数年通訳学校の講師をしてきたから、今は retention の悪さが記憶力の問題ではないことを十分承知している。英語をぱっと聞いた時にわかっていれば、その直後に忘れてしまうなどということはありえない。聞いている時にわかったような気がするというが、それは中途半端な理解で、本当には納得していない。つまり、情報をすばやく取り込む能力に欠けているということだから、通訳技量全般の強化をすれば retention もよくなっていく。(pp 24-25)
地道にその日の課題を復習して、学校でできなかったところがなぜできなかったかの理由を考え、「壮大な慣れ」(英語に対しては松澤喜好さんが初めて使った用語だと認識しています)をめざそうと思います。