通訳学校の講師の方針は様々です。インタースクールに通ってそれを感じますが、他校でも似たようなものだという話も聞きます。
フィギュアスケートやピアノの稽古にも似て、指導者独自の方針による裁量が大きいのではないでしょうか。もっともらしい過程を用意しても、受講者の伸びは相互に大きく違いそうですし。
先日は
「授業で使う教材についての準備をあまりしてこないでください」
という指示を受けました。
「準備をせず、他の通訳者(講師や他の受講者)が『通訳者のあら探し』をしている環境下でどれだけできるかを観察して授業に生かしたい」
という理由のようです。
通訳では長所を伸ばすのと同時に短所を改善する(目立たなくする)ことがどうしても必要です。正確な訳でも聞き取りにくい声、または朗々たる声でもうそばっかりなら顧客への役務提供をしたことになりません。厳しい環境下でどうなるかを安全な場所(教室)で経験するのは大切だと思います。
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2015-01-25 加筆
講師発言
「授業で使う教材についての準備をあまりしてこないでください」
の真意は、授業で使う音源を先まで聞いて「先回り」の予習をしな いように、という意図です(いわゆるベタ訳を用意してしまう等)。通訳者としてすべき準備は全力でします。資料を読み、語句を調べ、背景や過去の発言があ ればそれにも当たっておく。資料から当日の話を予想して自分で「成りきりプレゼン」をして録音してそれを通訳するなど、準備の方法はいろいろ考えつきま す。