50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-11-10 いろいろ考えるようになる

急にある考えに取りつかれています。最近の自分の通訳に少し違和感を覚えています。端的に言って納得できない。この程度の出来では足りない。通訳というのはこんなものではないはず。

どこがどう足りないのか。言葉で表せる部分もあるけど、まだよくわからないところもあります。

完璧な通訳なんて存在しないので、こうした感覚は常にあってもいいのですが、今回はちょっと重度かもしれません。


そうすると他にも同じことを考えている人がいることに気づきます。通訳者だけではなく翻訳者も。

来年(2019年)3月には現場に出て5周年になります。数百件の通訳をしてきたのだから自分の通訳も変わるし、自分の通訳をどう思うかも違ってくるでしょうね。

年度の計画を立てるときに今後の方針を考えてみようと思います。今までは拡大路線(通訳業務の種類も回数も)でしたが、それだけでいいのかどうか。

2018-11-09 詰め込み

ぎゅうぎゅうと頭から音がしそうなくらい資料を読んだり周辺調査をしたり。

初めての分野もありますし、経験のある分野でもいままでよりも改まった場で詳細な内容に立ち入る仕事もあります。

仕事の予定を入れるときに少し強気に過ぎたのでしょうか。

いや、そうでもないでしょうね。職業通訳者ならだれでもこのくらい追われる経験をしていると思います。

しかし、詰め込む速度や詰め込んだ後の回復の早さは若いときと同じではないような気がします。疲れないようにうまく調整しながら仕事を請け負うのも自営業者の大切な注意点ですね。


所得税申告をオンラインで行う「e-Tax」の経過措置として、本来なら必要なマイナンバーカードがなくても ID とパスワードを使って手続きできるようにしたそうです(2018年分の申告から当面の間)。窓口が混雑する前にと思って申請をしてきました。

顔写真付きの身分証明書(運転免許証)があればその場ですぐに利用者識別番号とパスワードの登録が可能です。パスワードは自分で指定するので、前もって考えておくといいですね。わずか10分程度で手続きが済みました。


近所にネパール人経営の「カレーバー」ができました。非常におしゃれな内装で、ピザやタパスが出てきても不思議ではありません。メニューにはしっかりネパール料理もありました。期待が高まります。

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2018-11-08 経験の効果・準備

分野にはなじみがあってもお客さんの顔ぶれと通訳の結果が使われる先がいままでよりだいぶ重いという仕事もあります。

内容はよく知っていても、それを他の人が語るのを訳すのは自分で話すのとは違いますね。

基礎知識が十分な分野で準備をするのは独特の難しさがあるように思います。集中が難しい。飽きてしまいがち。
「コレはアレのことだから、きっと訳せるさ」
とつぶやく虫が心中に出てくる。

今回はそうした声を押し殺して資料を念入りに読み、印をつけ、書き込みをしました。

現場に出てみて、準備をしていてよかったと感じました。なんとか話者と歩調が合いました(外から見ると合っていなかったかもしれません)。


準備に力を入れてよかったことは、話の展開についていけるのでその他の点に注意が届くことでしょうか。
「ちょっと違う」
「そこまでは言っていない」
「それでは弱い」
「重要なのはそっちではない」
私の訳を聞いたら話者はこんなふうに思わないだろうか。訳す前に話者のこうした反応を想像して訳に反映する。こうして文字にすると煩雑ですが、訳しているときには一瞬の判断になります。ひょっとするとこういった努力を続けていくと
「無私」
にわずかでも近づくのかもしれません。


店の人が盆から皿を下ろしていきます。なぜか皿相互に距離を取って…。魚も味噌汁もとてもおいしい。かなり丁寧に作っていることがうかがえます。

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2018-11-06 デジウェーブ(Digi-wave)

最近デジウェーブという簡易通訳機器(Digi-wave 300シリーズ)を使う機会が何度かありました。米国 Williams Sound 社が韓国で生産している機材です。

できることはパナガイドと同じ。送信機があって受信機があって、チャネルを分ければ別言語の送受信が可能。

利点はデジタル信号なので音質が良いこと、15チャネルまで使えること、電池の持ちが良いこと。送信機は受信機としても使え、完全二重通話のトランシーバー(電話と同じで聞きながら話せる)としても使えます。使い方によっては話者が通訳者に向けて話してもらうこともできそうですね。

周波数帯 2.4GHz なので日本以外でも使えます。


パナソニックも 2018年10月からパナガイドを更新してデジタル化しました(周波数は以前と同じ 322MHz帯、「Cバンド」)。チャネル数も 12 に増やしています。

あまり製品の動きのなかった簡易通訳機材ですが、ここに至ってデジタル化。通訳以外にも博物館・劇場での案内やホテルや大規模店舗内の通信にかなり需要があるのでしょうか。


酸味も甘みもいい具合です。今年は昨年より作柄がいい。剪定と摘果とをきちんとしたからだろうと思います。殺虫剤・化学肥料無使用。

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2018-11-03 一人で大きくなったような顔をして

インタースクールでお世話になった講師・通訳者さんと仕事をしました。それも1週間に2回。少し久しぶりです。

常設の同時通訳ブースに初めて入ったのが同じお客さんの仕事でした。そのときの同席通訳者もこのお世話になった方。

思い出深い場所です。


「一人で大きくなったような顔をして」
という表現がありますね。今の私はそんな顔をしているのかもしれません。実際のところは通訳学校の講師の手引きや励ましがあったからなんとか学習を続けたのですし、母体のエージェントが「危険度の低い」業務から取り次いでくれたので仕事の経験も積めたわけです。

ずいぶんと幸運だったと思って外に出たら、もう日差しがみかん色になっていました。

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2018-10-30 慣れて楽になるとは限らない

今まで何度か担当した会議の続きに入りました。仲良く仕事をしてきた通訳者仲間といっしょです。あまり危険な香りのしない現場だといえるでしょう。参加者や用語にもなじみがあります。

ところが通訳してみたら実に難しい。話の密度が高く、速さも相当です。何があったのか。


会議の話題となるプロジェクトが動き出し、いろいろと課題が出てきたからでしょうね。会議の参加者もいろいろと主張したり議論したりする必要が出てきた。何度か会議を続けてきてお互いの遠慮もなくなってきたのかもしれません。

通訳者の「慣れ」による通訳の向上が会議の深化に追いつかないこともある。質の高い通訳を提供するには事前準備や周辺知識も重要ながら、根本となる「狭義の通訳力」も鍵となるのを再確認しました。この能力にはいろいろな要素があり、人によっても場面によっても定義は異なるはずです(故に「」を付しました)。

特に話者に追われると感じるときには瞬時の理解が追い付かないのでしょうね。同時通訳では反射的に訳を出しているようで、実はその短い短い時間内に

  1. 聞いて
  2. 文法・文脈を読み取って
  3. 瞬時に理解して(非言語領域?)
  4. 言うべきことを決めて(まだ非言語の世界)
  5. 他の言語で構成して(再度言語の領域へ)
  6. 訳出する

ということをしている気がします。というか、そうしなければ訳は出ません。

理解の早さは重要だと最近よく思います。「理解エンジン」は入力が何かあってから立ち上がるのではなく、ハードディスクの円盤のように常時しゅーんと回転していて、何か入ってきたら即時に反応するような感じ。これは「訳出エンジン」でも同様ですね。


西新宿の住宅地、目立たないところにある「コチンニヴァース」。南インド料理の老舗です。久しぶりに食べましたが、やはりおいしい。スパイスをたくさん使うわけでもない。何かがうまく調和しているからおいしいという印象を受けます。青菜入りプラオ(炊き込みご飯)とキーマ(ひき肉)カレー。プラオが薄味、キーマが味しっかり。さすがの組み合わせです。

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2018-10-29 The New Replaces the Old

アバンティ藤沢店のあった場所にインド・ネパールレストランが入りました。

すばらしいことに、昼のメニューの片面がネパール料理です。ダルバート
「ネパールエスニックセット」
と巧みに説明しています。

店に入り、メニューを見てただちに
「ネパリカナ。ダルバート
と注文します。

「カレーを1品お選びいただけます。バターチキン、シーフード、マトン、ほうれんそうチーズ、野菜、豆」

これはダルバートを食べるときにはあまりよろしくない兆候です。インドカレーセットに使うカレーを流用ですね。消去法でマトンを選びます。


ネパール料理店が多い蒲田・大森(東京都大田区)や大久保(東京都新宿区)と違って競争がないためか割高感が少し。それと、わき役が少し寂しい。ゴルベラコアツァール(トマト・香辛料・塩のペースト)やムラコアツァール(だいこんの漬物)、サグブテコ(青菜炒め)があるといいのですが…。

それでもダルとタルカリ(やさいのおかず)がとてもおいしいので許せてしまいます。今回のタルカリはカブとカブの葉。ネパールの家庭の味ってこういうのではないかと思いました。

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