50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2017-11-05 通訳のこつ

通訳技能って「結合」(linking)だと思います。高速の結合、high-speed linking。

聞いたことばを自分の中にあることばから選んで表していく。聞いたことのないことば・いままで使ったことのないことばは選びようがない。

聞こえたことばに何か「技」をかけて言語を転換するのとは違うと感じています(単に感じ方・表現のしかたの問題で、私の言う「結合」を「転換」と感じている人もいるはずですが)。


通訳学校の講師をしていますが、最近よく口から出るのが
「できなかったことは今片づけておかないと(復習する等の対処をしないと)一生できませんよ」
という表現。今日聞いた教材や発言には必然性があったのです。聞こえたということは訳す宿命にあったのです。訳すのに問題があったのなら、この場で解決しておかないと将来似たものに出会ったときにまたできないのです。つまり、一生できないで終わる。


菜食定食です。野菜カレーも豆カレーも素朴ながらおいしい。インドのバスターミナルの食堂で食べるとこんな味かな、と想像します。サモサも餡が出来たてらしくてホクホクしていました。厚木市「リトルインディア」

f:id:shira-j:20171104230525j:plain

2017-11-04 通訳を中心に

たまにインド料理を食べたりしますが、生活のかなりの部分は通訳色に塗りこめられています。初めての仕事はフリーランスとして担当した商談会。お客さんやエージェント、他の通訳者のおかげでなんとか3年半続けてきました。年間稼働日数はこんな感じです。

2014年   102日(3月から)
2015年   136日
2016年   151日
2017年   165日(10月まで)

今年の稼働日数は 200日近くになろうかと思います。今年は同時通訳の割合が 35% 程度になりました。


地道に仕事をしているとときどき楽しいこともあります。先日はこのブログで過去にとりあげた通訳者と組む機会がありました。インターネットに公開されていたその方の記事を私が一方的に「発見」して紹介していたので少し不思議な気がします。すっかりうちとけて楽しくお話をさせていただきました。一つ印象に強く残ったのが

練習では自分の苦手なもの・関心の薄いものを取り上げている

というお話。プロはそうあるべきなのでしょうね。

 


朝日が当たるとさらにおいしそうです。毎日もいでいます。数日寝かせるとおいしくなる。

f:id:shira-j:20171103201559j:plain

 

業務の資料が届きます。こんなのがあと2束。この重圧がとても嫌いな人はフリーランスの通訳者には向いていないかも…?

f:id:shira-j:20171103201807j:plain

2017-11-02 そっと放す

いつも興味深く読んでいる「通訳者Mのブログ」の著者Mさんとはよく顔を合わせる機会があります。

難しい同時通訳の素材について先日話をしました。
「次はもっとできるだろうと思って繰り返す」
「ところがある程度で改善が止まり、そこでがんばるとかえって出来が悪くなる」

私もこの経験をときどきしています。
「よし、こんどこそ」
という力みがよくないのでしょうか。それとも、今はこれ以上は無理なので少し間をあけろという脳からの知らせなのでしょうか。あまり類似した刺激を脳に与えすぎると疲労して自己防衛(動きを鈍くする)に回るような気がします。

練習にはある程度の負荷は必要でしょうけど、飽和点に達した兆候があればあまり追い込んでも利益は少ないのかもしれません。

 


風が強かったので地下道を。

f:id:shira-j:20171101184638j:plain

 

少し寒々しいですね。

f:id:shira-j:20171101184726j:plain

2017-10-30 ちょっとへばってました

なんだか忙しい2週間でした。

台風が来るというので自己判断で現場近くに前日から宿泊。これが好判断で、当日の朝最寄り駅の鉄道は止まってました。会社員と違って鉄道会社の遅延証明を出せばよいというものではありません。ここが業務請負のちょっと厳しいところ。

いろいろと心労のある現場で週が始まり、その後には遠距離が待っていました。最近は鉄道各線の相互乗り入れが多くなり、南栗橋(埼玉県久喜市)を出た電車が中央林間(神奈川県大和市)まで走ったり、高崎から小田原まで、宇都宮から久里浜(神奈川県横須賀市)までといった中距離運航が普通になりました。

そんな電車を使って片道2時間を超える現場に4回、長時間ずっと立っている仕事に2回、資料の厚さが 5cm ほどもある会社を2回(別件)。

さらに自らの不注意で南インド料理を調子に乗って食べ過ぎておなかの具合がいまひとつ。週末の通訳学校講師を無事に終えて本当に安堵しました。

体調はいまひとつでしたが、仕事に支障がなかったのは幸いでした。過去の学習から少しは用心深くなったのかもしれません。


この歳になると電車に乗って移動するだけでもじわっと疲労が生じるのですね。そしていつものことながら
「初めての場所・初めての人・初めての内容」
という仕事の精神的重圧も疲れにつながります。対処としては
「疲れる前に休め」
しかありませんね。疲れてしまってからでは回復が難しい。


ブログ「通訳 清原の日記」の清原さんもいろいろとお疲れのようです…。
南武線 止まる
千代田線 止まる

 


ここは横浜…

f:id:shira-j:20171029200516j:plain

 

前年の剪定と春の摘果とがうまくいったようです。大豊作。

f:id:shira-j:20171029200714j:plain  f:id:shira-j:20171029200759j:plain

2017-10-24 気持ちの良い日

過去に何度も仕事で組んだ通訳者がたまたま同じ現場に集まりました。

この方とはこの現場で、あの方とはあの現場で、といままでご一緒した場所や時期は違うのですが、集まってみるとみんな相互に知っている、という展開です。

いろいろと難しいところもある現場でした。対策について何でも話し合える通訳者と組むのは通訳者にとってだけではなくお客様にとっても価値があったのではないかと思います。

こうした経験をすると、初めて組む通訳者ともすぐに建設的な話ができるようになる気がします。いままで組んだすべての通訳者と本当に気持ちのよい経験をさせてもらっています。それに加え、顧客との接し方、現場に入ってからの最後の情報収集、危機管理といったことで教わったことは数知れません。

 


おいしい牡蠣を食べながら仕事の振り返りと懇談。実に楽しい。

f:id:shira-j:20171023180427j:plain

f:id:shira-j:20171023180409j:plain

 

パスタはウニソース。たまりません…。

f:id:shira-j:20171023180537j:plain

※ 写真は同行者から許諾を得て拝借しました。

2017-10-22 危なかった…

通訳者にとって絶対にしてはいけないことは…。

いろいろあるのかもしれませんが、まず第一に挙げられるのは
「決められた時間に現場に到着していない」
ことでしょうね。

どんなに準備してもどんなに良い訳出が可能でも、現場にいなければ全くの無駄。自分だけなく、エージェントもその客先から今後仕事をもらえなくなる可能性はとても高いと思います。


今日はかなり危ない経験をしました。本当に幸運なことに仕事ではなかったのですが。

通訳学校で打ち合わせを予定し、以前に手帳の予定欄に書いておきました。ところが曜日を間違えていて、本来の日の1日後に書き入れていたのです。

偶然にも全く別件で当日に訪問する方とメールのやりとりをしました。相手からのメールの結びにさりげなく

それでは今日、後ほどよろしく !

 と書いてあったのです。

「え?」
と思って会う約束をしたメールを検索して見てみたら明日じゃなくて今日ではないですか!

ありがたいことに十分に間に合う時間でした。さりげなく出向いて用事は無事に済みましたが、肝を冷やしました。メールに先方が書いてくれたあの1行がなかったらすっぽかしていたのです。そして、これがもし業務だったら…。

転記したら必ず元の資料(連絡メール)と照合しようと思います。

2017-10-21 なぜ幸運だった話を書いたかというと

2017-10-17 から3回にわたって「幸運だった話」を書きました。

なぜ書いたかというと
「同じ努力をしていても、結果は大きく違ったかもしれない」
ということをお伝えしたかったのです。

いままでの仕事をやめて通訳・翻訳の仕事をして軌道に乗れなかった人は数多くいると思います。

続けていればきっとなんとかなる、というほど世の中は甘くはないようです。

私が特別努力したわけでもありません。たまたま具合の良い場所にいて、具合の良いときに具合の良いことが起こっただけとも言えます。

私の姿勢はどちらかというと受け身でした。人に勧められて通訳学校に通い、講師に勧められて少し特別な過程に入り、言われるままに学校の母体のエージェントに登録し、割り振られたとおりに仕事をしてきただけ。

姿勢らしい姿勢といえば、
「(考えるのもめんどうだから)No と言うのはやめておこう」
ということくらいでした。


四谷二丁目「kokocara」の豆乳ぜんざい。

f:id:shira-j:20171020210602j:plain