50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2019-07-22 グータラ勉強法

なまけものスタイルというお話です。

学習の方法って本当にいろいろだと思います。ベストのものを追い求めるのはのんびり行いつつ、とりあえず日々続くものを選ぶのが私の方針と言えそうです。

私の学習スタイルは「超軽量」「アジャイル」「自動化」とでもいいましょうか。

  • 学習の記録は取りません。時間数や教材の記録は皆無。可能な限り学習するだけです。記録しても通訳技能は上昇しませんし。
  • 紙のノートはほとんど作りません。最近7年間で用語・単語を薄いもの3冊。
  • 業務関係の資料はすべて廃棄。次回必要ならまた入手すればいいだけのこと。
  • 空き時間に何をするかを決めてあるので、電車の中や時間調整のカフェでは自動的に学習が始まります。
  • 携帯デジタル音楽プレイヤーを常時持ち歩き、人通りの少ないところでは自動的にシャドウィングや同時通訳の練習を始めます。

さして方針とも呼べないようなこんな感じでも、続かないよりはずっと良いと思います。

2019-07-21 通訳者も即応用できるアナウンサースキル

2019年8月24日 東京都世田谷区 昭和女子大学で開催の

日本通訳フォーラム2019

に「東京ナレーション・アナウンスプロ塾」講師の山下のりこさんを迎えて以下のセッションが設けられています。

「ところで、その日本語伝わっていますか? ~通訳者も即応用できるアナウンサースキルを伝授します」

日本人顧客の日本語に対する要求は高いと言われていますし、私もそれを現場で感じています(「こなれた・練れた」日本語を自然に話せる通訳者はそれだけで競争優位に立ちます)。地域色が強烈な中国や移民社会を反映する米国(特にビジネス界)では「いろいろな」中国語・英語がごく自然に使われますが、日本での様相はかなり違いますね。


他の集まりと同様に、日本通訳フォーラムにも複数回参加すると知っている顔も増えてきます。「居酒屋現象」「カフェ現象」とでも言いましょうか。初めて1人で行くと1人で飲んで食べて帰宅…なのですが、回を重ねると自然と話をする相手が増える。店の人が仲立ちをしてくれたりする。

私事ですが私もこうした縁で講師役をしたり通訳業務を紹介してもらったりしてきました(フォーラム後の懇親会の話から年間2百万円程度の取引につながってびっくり)。

 

2019-07-21 資源(注意力)の配分

仕事に慣れるとはどういうことかというお話です。

仕事は通訳技能そのものの練習にはなりにくいというのが私の考えです。回数を重ねると以前よりも訳が的確に出るようになるのはまちがいありません。しかし、向上の原因は狭義の通訳技能が伸びたことではなくて、その周辺の事情によることがほとんどでしょう。


周辺の事情とは何かというと、場数を経験することによる「慣れ」です。

  • エージェントが照会するときの形式・内容
  • 時間が限られているときの準備のしかた
  • 資料の持ち込み方法
  • 会場への入り方(入館の手続き)
  • 会場内のどこに位置するか
  • 会議の進行
  • 暑さ寒さ対応
  • 食事をどこでどう取るか
  • 同席通訳者との交代
  • 通訳機材の扱い
  • 顧客の属する業界の動向
  • 危険予知
  • 危機管理(聞きとりにくかったら・言い間違えたら)
  • なんとかなる、いままでもなんとかなった、という思い

数十回・数百回と経験することでこうした面では相当楽になります。懸命に考えなくても半自動的に対応が可能になってくるのです。

この効果はかなり大きいと思っています。少なくとも私にとっては。

周辺部分が楽になれば「発言を聞いて訳す」という通訳業務の核心部分に精神的な資源をより多く割り振れるようになります。「経験を積んだから通訳が上手になった」というときにはこの要因が主なのだろうと思っています。


私は以上のように考えるので、通訳技能そのものの訓練は継続して行うべきだと思っています。世の中がいろいろな方面で進歩しているとしたら、通訳者の技能もその例外ではないはず。
「薄暗い映画館で必死にセリフを聞き取って英語の練習をした」
「辞書をボロボロになるまで使った」
というのはすばらしい話ですが、
「ネット経由で良質の動画素材を存分に使って」
「携帯音楽プレーヤーやスクリプト字幕機能を生かし」
コーパスをインターネット経由で調べる」
という現代の学習のほうが大きい成果を短い時間で達成できるでしょう。便利な方法を使うと身が入らないというのはくだらない思い込みでありやっかみです。最新の方法を使っても学習の大変さは変わりません。スケート選手は高地で、棋士はAIを相手に練習しています。

周囲が進歩しているのですから、自分が立ち止まっていれば相対的に置いて行かれます。通訳学校に通い始めた2012年から常に
「自分が立っているのはゆっくりと下るエスカレーターだ」
と思うようにしています。


南インド風のアヴィアル(ヨーグルトとココナツを使った野菜の煮物)と北インド風のダール(ひきわり豆の煮込み)。思ったとおりの味になりました。

f:id:shira-j:20190720171903j:plain



2019-07-18 小休止

体の具合がいまひとつというお話です。

この歳(60歳近く)になると多いのが、疲れが出てきたときに
「そういえばあのとき…」
と思い出すことではないでしょうか。


ミカンの木の周囲の雑草を抜いたら急に疲れが出て寝込んでしまいました。

そういえばあのとき…。

・強い冷房の部屋で終日の講習会業務があったなあ
・それとは別に冷房が弱いと予測した現場も寒かったなあ
・地下鉄の駅でずいぶん階段を歩いたし
・待ち合わせ場所で背もたれのない椅子にしばらく座ったし
・初めてのお客さんが続いて心理面でも重圧があったのかも
・一番大切な早寝ができていないし
・ライブハウスに行っちゃったし…
・肉の多いネパール定食の翌日にパキスタンの肉料理は重すぎたかな


幸い一晩ゆっくり休んだら動けるようになりました。それでもまだ「もやもや感」が残ります。少しおとなしくするよう心がけます。


そんなわけで、いつもならニルワナム神谷町店(南インド料理)で決まり!の昼食を神谷町駅直結の地下にある立ち食いそば「そば庄」にしました。なかなか良いです。近所の外国系企業で働く女性の一人客もちらほら。カフェのパスタもいいですが、春菊天やわかめの乗ったそばを選ぶ人を見ると
「わかってますね」
と思います。しょうゆがきつくないのが良い。

台湾の焼餅や香港の腸粉と同様、日本ではファーストフードといえばまずこれ。しっかりと支持されています。

f:id:shira-j:20190717210753j:plain

 

2019-07-15 通訳者か自営業者か

私は通訳者であると同時に自営業者だと思っているというお話です。

企業勤務をずいぶんと経験しました。そこからほぼ無職の期間を経て自営業者(フリーランス)として通訳を本業にした5年が経過したところです。

企業勤務の経験が長いだけに自営業者の生活が新鮮でした。自分の商品を売って生計を立てる。良い仕事をして顧客・エージェント・同席通訳者の期待を裏切らないのがまず第一。そしてその他にも小さな決断が積み重なって事業の形が決まっていきます。

事業ですから、
・どこで
・何を
・どう
売るかということ。

そう、「売る」のです。ここが被雇用者と違うところ。近年になって
「会社員も『雇われ感覚』ではなく自らキャリアを築こう」
という主張もあるようですが、そうした声の大部分は書店に山積みの自己啓発書やちょっと格好の良いウェブサイトから聞こえてくるように思います。自分が現場で通訳を1件実施してそれがそのまま収入金額に反映するのを経験するのは本を読むのとは全く違います。

以前の勤務先の営業担当役員がこう言っていました。
「文句は売ってから言え」

当時はずいぶん単純化した見方だと違和感を覚えたのですが、今になるとわかります。企業を支え、社員に給与を払い、社員やその家族の生活にひりひりする責任を感じているからこそ言ったことなのだろうと。


高い通訳報酬は自営業者にとって正義です。価格は市場で決まります。すなわち「全能のだれか」が通訳者の技能を測定して報酬を決めているのではありません。自営業者は経営主体ですから、ときにはどこにどう売るかという事業計画を考えることも必要だろうと思います。


事業開始時から現在までの月間報酬をグラフにしています。毎月だと細かい増減があるので3か月ごとの平均で示しました。「思い出してもらえる通訳者」になるまで数年かかるのが読み取れると思います。事業者としての成績表とも言えます。

f:id:shira-j:20190714223224p:plain





2019-07-13 四球(打たせてもらえない)

通訳にも野球の四球(base on balls, BB)のようなものがあるというお話です。

無事に発注者から通訳業務確定の連絡を受け、資料が届いて準備をします。やや緊張して現場に出かけるのですが、意外な展開ということも起こります。

通訳者が言葉を口にする機会がない。

会議の参加者全員が共通の言語でやりとりできてしまうことがわかったり、通訳を必要とする人が急遽出席できなくなったり。あるいは通訳の発注側や通訳手配会社が状況を読み違えたり。

フォアボールです。通訳者はじっとしているしかありません。場合によっては会議の主催者から申し訳なさそうに
「よろしければもうこの場はけっこうですから(いると目障りだから)」
と伝えられる場合もあります。


昨年(2018年)は四球が6回ありました。通訳者仲間に言うと皆さん回数の多さに驚きます。


今年は四球がないな、と思っていたら、年の前半に経験しました。


四球は淡々と受け止めています。かつての勤務先で営業担当の役員が言っていました。
「仕事をせずにカネをもらうのが最高。仕事をしてカネをもらうのがその次。仕事をしてカネを取り損ねるのは最悪」
仕事をするといろいろと危険や責任が付いて回ります。四球のときには
「ま、こういうこともあるか」
「通訳者の休日、いいじゃないですか」
と気楽に考えることにしています。


団地の中にベトナム料理店がありました。神奈川県横浜市西部に感じが似ていますが、ここは東京都。

f:id:shira-j:20190712223813j:plain

f:id:shira-j:20190712223835j:plain

 

2019-07-10 新端末無事にデビュー

Microsoft Surface Go LTE の電池の持ちのお話です。

午前9時から午後6時までのやや長い業務で Microsoft Surface Go を使って資料を表示してみました。使用したソフトウェアは PowerPoint です。

電力消費を抑えるために以下の設定にしました。
・電源オプションで「より良いバッテリー」を選ぶ
・ネットワーク接続を止める
・画面の照度をやや落とす

9時から6時まで、途中昼休みの1時間は画面表示を止めましたが連続使用です。

電池は十分に持ち、Windows が表示するバッテリー残量は40%でした。これなら資料を見るためなら終日の業務で安心して使えます。Windows10 なので Microsoft Offce 製品群を使えるのが便利ですね。

当日は Androidタブレットも使って2画面態勢で臨みました。同席通訳者も同様で、テーブルの上には端末が4台。紙の資料がなくすっきりとした外見です。主催者のはからいで電源を確保してもらったのでタブレットはAC電源を使いました。

通訳者の席に十分な数の電源接続口が必要な時代になったと思います。5口のタップが2台あっても
1.通訳コンソール
2.通訳者用照明に2口
3.通訳者のPCまたはタブレットで2~4口
4.通訳者のスマートフォン充電で1~2口
ということになり、ほぼ使い切ってしまいます。
場合によっては通訳者が会場内の音を聞くための受信機でさらに電源が必要になります。

通訳機材の設営をする方がもしこのブログを読んでいらしたら、通訳者席にはぜひ十分な数の電源差込口を設けてくださるようお願いします。


七夕を過ぎても17度。

f:id:shira-j:20190709221307j:plain