50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-06-25 経営指標

2018-06-04 通訳業務記録ファイル

という記事でどのように業務を記録しているかを書きました。

売上を以下の3種に分解しておいてよかったと思います。

1 通訳報酬(通訳そのものの対価)
2 各種手当(拘束時間や不便さの対価:日当・移動手当など)
3 実費相当分(通訳者が支出した費用の戻し入れ)

私の場合、2014年・2015年は上記 2 の割合が高くなっていました(出張業務のため)。2016年の売り上げは2015年とほとんど変わらなかったのですが、1の比率が増えて2が減ったことがわかったので不安を感じずにすみました。

要素別に記録して必要に応じて組み合わせる手法は企業勤務時代からの「手土産」ですね。以前使っていたエクセルの関数にも助けてもらっています。LOOKUP や SUMIF、文字列操作の RIGHT/LEFT/LEN/CONCATENATE 、そのほかにも COUNTIF、DATE などは「指が覚えて」います。ピボット集計やグラフも慣れるとさほど難しくはないものです。企業と違って自分がわかればいいので気楽です。


一年の半分を過ぎようとしています。年末までの業務を合計すると昨年1年の売り上げを超えました。東京オリンピックや企業業績の続伸、外国企業の日本進出・日本企業の外国進出によって首都圏の通訳市場では供給不足気味のようです。
「誰か通訳者知りませんか?」
というのがエージェントのあいさつ代わりといっても過言ではありません。ただし条件があって、求められているのは
「安心して現場に出せる通訳者」
です。大手エージェントには1社あたり数百人の登録通訳者がいそうですが、毎日のように(会議や講演で)稼働しているのはそのごく一部だろうと思います。


ことのほか気持ちの良い日。

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2018-06-24 平常心で

新しい分野や顧客、通訳形態を経験しつつあります。事前の身が引き締まる思いと終わったときの安堵感とが目まぐるしくやってきます。

こういうときこそ落ち着いて丁寧に、与えられた仕事にいつものように取り組むべきですね。話者が重要人物だったり場面が大がかかりだったりしても、音声が通訳者の耳に入るときにそうしたことはあまり関係なく、しっかり聴き取って忠実に訳すしかない。

 


和風週間でした。

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2018-06-21 パナガイドを集音に使う

簡易同時通訳用の機器として日本では事実上標準のパナガイド。通訳者は送信にだけ使うことが多いのですが、集音に使うという手もあります。

たとえば会議室に参加者が10人。「コ」の字や「ロ」の字にテーブルを並べて参加者が着席すると通訳者から遠い人がどうしても出てきます。通訳者から遠いところに座る人に限って小声で話すというジンクスがありますね。そうなると通訳者が発言を聞き取るのがとても難しくなります。聞くだけならなんとかなるかもしれませんが、聞きながら話すので通訳者自身の声がじゃまになる。この厳しさは会議の参加者になかなか理解してもらえません。

そこでパナガイドの送受信機をもう一組使います。送信機に無指向性のマイクロフォンをつなげて会議室の中央に置かせてもらいます。椅子を置いて背もたれにマイクロフォンをテープで固定するのが便利でしょうか。そして受信機は通訳者が使ってイヤフォンで音を取ります(ステレオイヤフォンの場合、ステレオ・モノ変換プラグが必要です。さもないと片耳しか聞こえません)。

パナガイド標準のネクタイピン型マイク(銀色の円柱型)もなかなか良い仕事をします。かなり高感度で
「パナガイド、なかなかやるな」
と思わせます。

チャンネル設定例:
英語送信 1ch
日本語送信 2ch
通訳者用 5ch

この方法を試すと
「なぜ今までこうしなかったのだろう…」
としみじみ思います。部屋の片隅に離れて座って、テーブルに資料を置いて通訳できるのですから…。

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2018-06-20 飛行時間と手術件数と

飛行機の操縦技能の客観的な指標は飛行時間だそうです。百時間の新米の技能は千時間の経験とは歴然と違う。

外科手術の件数も同様だと聞きました。天皇の心臓手術をした天馬篤さんにとっては年間四百から五百例が標準で、1日1例が最低ラインだと述べています(朝日新聞記事 2012年10月27日)。


最近私は通訳にも似たところがあると感じ始めています。業務で通訳をすれば必ず何か気づくことがある。どの現場も異なっていて、決して同じということがない。通訳して通訳して通訳しまくる。そこから得るものもあると思います。

同じような形式で忙しい通訳を続けると
「通訳が荒れる」
と言う人もいるようですが、極度に消耗する日々を過ごさない限り荒らすか荒らさないかは自分の裁量によるところも大きいのではないでしょうか。
「雑にすれば即ち雑務」
という理屈に少し似ているように思います。


横浜駅近くに良い待ち合わせ場所を見つけました。

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2018-06-19 健康の大切さ

大人気ブログ「定年からの通訳デビュー」の著者モコちゃんパパさんが朝起きられなかったとのこと。幸いすぐに回復されたようです。

私にとっても他人事ではありませんでした。十分に睡眠をとるようにしていたのですが、一昨日は夕食後に資料を読もうと思ったのに、少し横になったらそのまま寝てしまって、起きたら深夜でした。

先週の同時通訳グランプリの準備の疲れがまだ抜けきっていなかったようです。年齢を経るにしたがって疲れが遅れて出てくるといいます。おそらく単に回復が遅くなるからなのだろうと思いますが…。

なるべく歩き、早く寝るようにしています。特に大酒飲みというわけではありませんでしたが、アルコールは 2008年の年末に止めました。せっかく始めた通訳稼業、なるべく良い品質で長く続けたいと望んでいます。

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2018-06-17 常に動態

今年6月にもいろいろと新しい経験をしました。

業務件数
6月の業務件数は25件。月間最多を更新し、月間売り上げはいままでで2位。同日に複数業務が常態となった月でした。
元請
外国の顧客から直接受注し、通訳者チームを組んで対応しました。手配・支払いなど、エージェント担当者の気持ちがよくわかりました。この経験は強くお勧めします。
客先・業界
エージェントのおかげで複数の新しい業界の仕事を経験しました。
行事
日本会議通訳者協会主催の「同時通訳グランプリ」の予選・本選で主催者側として活動しました。本選大会では司会を担当し、以前のトーストマスター活動の恩恵を実感。
露出
イカロス出版の「通訳・翻訳ジャーナル 2018年夏号」およびリクルートワークス研究所の機関紙「Works」148号 に取材を受けた記事が掲載されました。


通訳業を始めたとき、
「珍しさと面白さとは違う」
「いつの日か珍しさが失せて、面白さに気づかず通訳から離れるときがあるかもしれない」
という漠然とした不安がありました。

今のところこれは杞憂のままです。リクルートワークス研究所は私のつたない説明をきれいにまとめてくださいました。

誰の指図も受けずに仕事を決めて“自分を売る”という自由。持てる技能で稼ぐという手応え。フリーランスになって初めて知ったことですが、こんなに多面的な楽しさを得られるとは、思っていませんでした 


伝え聞いたところでは、インド料理を作る通訳者が首都圏にいらっしゃるとのこと。まだ出会っていませんが…。

写真は赤羽橋の「ガネーシャダイニング」。一見頼りなさそうなナンは実はとてもおいしい。2012年頃に近くで通訳練習会をして以来です。懐かしい。

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2018-06-15 同時通訳グランプリ 盛会

日本で唯一の同時通訳コンテスト
「第一回同時通訳グランプリ」
の本選大会が無事に完結しました。

第1回 同時通訳グランプリ 結果発表 

特別審査員に原不二子さん・鶴田知佳子さん(米朝首脳会談のテレビ報道で同時通訳をされていましたね)を招くことができました。その他にも審査員としてエージェント各社の社長を始め幹部の方に参加していただきました。

An Interpreter is Born.
という興奮がありました(入賞者の通訳音声を聞いた通訳者は首筋のあたりがヒヤリとしたかもしれませんね)。

鶴田知佳子教授の力添えもあり、東京外国語大学のすばらしい大教室を使うことができました。また、最新のデジタル同時通訳機器で支援してくださる企業もありました。ありがたいことです(非常にクリアな音質で、審査員からは「通訳者が緊張している空気まで伝わってくる」との声がありました)。


この大掛かりな催しをほぼ手作りで仕上げた日本会議通訳者協会の構想力・実行力もかなりなものだと思います。最初は
「こんなの、できたらいいね」
という話だったのです。
「だったら、してみようよ」
と言ってここまで来ました。

実行委員は本業とグランプリ準備のためそれこそ寝る間を惜しんで活動してきました。正直なところよくできたものだと思います。このあたりについては関根マイクさんのブログをぜひ参照してください。

まさしく
「人は石垣」
ですね。それぞれの人が持ち場を守って励ましあってやってきました。

スポンサー各社、後援をいただいた各社、講演者、審査員、聴衆、競技者、実行委員、ボランティア。どれ一つ欠けていても成り立たなかったはず。プロジェクトは様々な要素を練り上げて実現するものだと改めて思います。


同時通訳グランプリがかなり話題になったために、夏の通訳者の祭典「日本通訳フォーラム」への参加申し込みにはずみがついています。過去3年毎回チケットが完売していますので、手配はお早めに…。

日本通訳フォーラム