通訳学校に行くと「クイックリスポンス」という用語を耳にするようになります。間髪を入れずに訳語や対応する表現を出すことです。
通学を始めたときにはさほど気にしませんでしたが、最近はこの重要性をしみじみ感じます。「えっと、あれ、何だっけ」と止まる一瞬が実に惜しいんですね。わずかな時間が失われるだけではなくて、流れが乱れるストレスで訳出全般に悪い影響が出ます。
単語集でも文中に出てくる単語でも、訳す反応速度を気にして練習するのが大切だという認識を新たにしました。
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この「訳語」というのもやっかいですね。確実に一対一の対応があって安心してそれを使えるのは科学分野の用語くらいじゃないかとさえ思います。
身近な例では「指」。A human being has eight fingers, two thumbs and ten toes.
「水」についても日本人の脳裏に浮かぶ印象と他国の人が思い浮かべるものとは違いますね。ドイツの河川は蛇行して流れが遅く、にごっているためか
mit allen Wassern gewaschen sein (to be washed in all waters) というと
「世間にもまれて生活の知恵をつけた」
になるのに感心しました。日本で「あらゆる水に洗われて」でしたら、さぞかしピカピカになりそうです。
「奨学金」も危険ですね。scholarship は返還義務なしの場合で、貸与でしたら student loan でしょうね。