通訳の講習会で、講師が
「通訳は近似の芸術ですね」
と言ったことをときどき思い出しています。
絶対にこれが正しい、こう訳すべき、という訳は存在しません。文脈に依存し、場面に応じて訳の候補はいくらでもありそうです。
その中から
「えいっ」
と一つを選んで(あるいは選ぶ余裕もなく)お客さんに伝えます。
どれだけ「適切な訳」に近づけることができるか。
▼
同じ素材を使って訳を何通りも出してみる練習も役立つと考えています。強調する要素をどれにするのか。感情をどう表すのか。目的言語(通訳する先の言語)で自然な言い回しを使うために原文からどの程度「離れて」もいいのか。
翻訳のように訳を吟味するのも大切かもしれません。