この歳(59歳+)になっても新しいことはどんどん起こります。
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通訳専業になったのが2014年3月。2016年から業務量も増え、2018年・2019年は年間業務回数がそれぞれ2百回を越えました。通訳の形態も内容もいろいろと経験することができました。
しかし。
他の多くのフリーランス通訳者が少なからず経験する(という)IR通訳には不思議なことに全く縁がありませんでした。照会があったのが過去5年間で2回、いずれも日程が合わなかったり顧客の来日とりやめ等で実施に至らず。
通訳エージェントにも
「IRよろしく~」
と伝えていましたし、企業の会計・財務部門や海外事業部門での経験もありましたから親和性は高いと思っていたのです。
非金融企業の取締役会や株主総会の通訳は数多く担当したのですが、なぜか機関投資家と企業との間に立つことがありませんでした。
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もうひとつ他の通訳者(というか、世の中の大多数の方々)と違っているのが電話機。充電が難しい現場に長時間出る仕事があり、二つ折りの電話機(flip phone)を使ってきました。あと2年くらいで3G通信規格が停止するので、それまでは使い続けてみようと思っていました。
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以上2点がコロナウイルス感染の広がりで予期せぬ転換点を迎えました。初めての客先から在宅遠隔会議の打診を受けました。思い込みとは恐ろしいもので、
遠隔会議 = インターネットと通訳システムを使って参加
と思い込んでいました。
直前になって自宅から電話で会議システムに接続することがわかってちょっとしたパニックです。だって使っているのは有形文化遺産みたいな二つ折り電話。イヤフォンもつなげませんし、訳出を送話口に送り込むのも難しい。
これは通訳の神の声だと思って携帯電話の機種変更に走りました(歩いていきましたが)。業務の2日前にスマートフォンを受け取り、慣れない手つきで使い方を学びます。以前に Android のタブレットを持っていたので、スマートフォンは通話機能が付いたタブレットだとわかって一安心。コロナウイルス感染防止で外出制限がかかる前で幸運でした。
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そして通訳の内容がIRでした。顔が見えないので完全逐次(音声の重なりなし)というIRの基本を実践するのにある意味では理想的だったのかもしれません。
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先のことはだれにもわからない。