50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2020-01-12 そんなに格好良いものでもない

航空客室乗務員と通訳者。共通点がありそうです。昔は「すごい・かっこいい」と言われた職業で、今はさほどもてはやされないという点で。


通訳者は専門サービスを提供して報酬を得ます。これは医師、保育士、タクシー運転手、弁護士、電気工事士などと同じ。付加価値の相違はあれど労働者であることは共通項です。仕事に出ないと収入が途絶えます。

通訳者の報酬は極端に低かったり高かったりすることはありません。1日あたりの最低はおそらく1万円程度、高くても20万円を超えることはまずないでしょう。極端に低いもの・高いものを除外すると2万円から10万円の間に大部分が収まると思います。格差はわずか5倍。

企業経営者では統制が厳しい上場企業でも役員報酬が億単位ということが珍しくなくなりました。新入社員の報酬の数十倍から百倍を超えることもあるでしょう。作家や俳優、歌手だと格差はさらに大きく、比較が意味をなさないような気もします。


こう考えてみると通訳稼業は劇的な要素が少ないつつましやかな仕事だと思えてきます。呼ばれた先に出向いて仕事をして報酬を受ける。これを地道に繰り返す。報酬を増やす方法は「足し算」のみで「掛け算」はない。


だからこそ何らかの情熱を燃やして、またはささやかな満足感を得て仕事をする人が続けているのでしょう。通訳技能の研究をする人・後進の指導にあたる人・顧客の満足を高める人・通訳産業について考える人など、形は様々でも「通訳愛」と呼ぶべき何かが底に流れているのではないでしょうか。


河口湖にて。

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本栖湖にて。

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