通訳の練習をしたり現場に出るときに強迫観念のようなものを感じてきました。
「通訳技能は練習や実践では伸びないのではないか」
その理由は周囲にいる「鮮やかな訳を出す通訳者たち」の存在です。民間の通訳養成機関インタースクール東京校のプロ速成科(2014年4月期開講、翌年はプロ選抜科、その次の年からは専属通訳養成コースと名称が変遷)にいた若い仲間たちや、通訳の仕事に出て見かけた優秀な若い通訳者を見て相当な危機感を感じました。
一言で言ってしまうと、
「抜群のセンスを持つ」
人たちがこの世の中には存在する。地道な練習で追いつけるものではないのかもしれない。そして、こうした人たちが10年・20年と現場に出ても技能が10倍・20倍になることはないように見えます(変な表現ですが、感覚として)。通訳者として羽ばたいたときの「高さ」が決定要素になってはいないか。
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そして現在。「抜群のセンス」や高機能バイリンガル(2言語のどちらにも制限がない)が圧倒的に有利だと思うことに変わりはありませんが、自分のことを観察してみると
「続けていると進歩はある」
ことを少しは認める気になってきました。
ごく最近ですが、改まった雰囲気での逐次訳が偶然に数件連続し、それぞれの回の後に
「1年前だったら、今日のようにはできなかっただろうな」
と感じました。同時通訳でも資料の読み方でも1年前とはずいぶん変わってきた気がします。仕事を始めた3年前とはもっと大きく変わっているはず。
日々の積み重ねは裏切らない(かもしれない)。
いろいろ考えながらも騒がず、気楽でいながらなまけずに続けていこう。