通訳者が原稿を翻訳し、それを読み上げるという業務もあります。
日本企業が日本語で決算説明会をしてその音声を通訳会社に渡し、通訳会社は英語音声を納品するという形式が日本では最も多いのではないかと思います。
こうした業務はエージェント経由が主でしょうから、成果物の内容についてはエージェントの営業担当者が聞き取っているはずです。つまり、
- 翻訳の精度・品位はどの程度か。母語話者による校正は必要か。
- 母語話者の読み手を指定しているか。
- 原音声と同じ長さに収めるのか(いわゆる「吹き替え」にするのか)。
- 音声収録はどのように行うのか(録音技術者が付くのか)。
といったところでしょうか。
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こうした仕事を最近2回ほど経験しました。経験者に指導を仰ぐことなく自分なりに取り組んでみたので時間がかかり効率はよくなかったのですが、それだけ次回に向けての教訓は強く残ったように思います。
- 上記に示した納品条件をしっかりと確認する。
- ライブ感のある訳(やや同時通訳的)にするかこなれた訳(時間は同じだが、要素の順番は前後する)にするかを前例や客先の要望で決める。
- 複数の通訳者(翻訳者)が担当するときには相互に確認する時間を確保しておく。
- 原稿を作ったら、まず第一に「事実確認」をする。つまり固有名・数字・単位のみをすべて点検する。文法や表現に気になるところがあっても無視し、まず事実を確実にする。他人の目で見てもらったほうが確実。
- 事実確認はまず音声・翻訳間で行い、次に資料・翻訳間で行う。原音声に誤りがあるときには顧客と確認して音声・資料のどちらを生かすか決める。
- 翻訳を一定の速度で読み、長すぎるようなら訳文をなるべく短縮し、短すぎるようなら長くする(語数の多い表現にしたり冗長度を上げる、等)。
- 訳文の調整で対処できないときには読む速さ・間合いを変えて長さを合わせざるを得ない。
- 複数担当者が作業する場合には原稿を交換して用語・文体の一致を確認。
- 訳文原稿に読むための注記を入れる。長い名詞句には連結を示す弧を掛け、意味上の切れ目にはスラッシュを入れる。「速く」「遅く」「強く」も注記。
- 練習では原音声をイヤフォンで聞きながら読み、録音して問題点があれば改善する。
英国・米国に在住する母語話者に校正を依頼するのはおすすめです。時差があるので、寝る前に送っておけば朝に仕上がってきます。もちろん日本でもかまわないのですが。
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出先でおいしい南インド定食を出す店に行けました。浅草の「サウスパーク」です。ケーララ州の料理だそうです。
昼はミールス 950円、ミールススペシャル 1,200円(写真)(税共)です。塩や油が少ない、さらさらと食べられるおいしい料理です。
自家製レモンピックル(レモンを調味料と煮て数日置いたもの)がとてもおいしい。梅干や海苔の佃煮感覚です。