前回の記事でひとつの顧客との仕事を始めてから1年になったことを書きました。
初日のことはよく憶えています。初めての場所・初めての人・初めての内容・初めての状況。
「じゃ、お願いします」
と言われたときはぐっと緊張しますね。
そして1年後。
複雑な話や難しい内容も出てくるようになりました。1年前だったらとてもできなかったと思います。
- 1年間で英語の力が大きく伸びることはありません(私の場合)
- 用語だけ詰め込めば通訳が楽になるかというと、そうではない
それでは何が変わったのか。広義の「通訳力」とでもいうものが少し増えたのかもしれません。またの名を「慣れ」。このブログで3度目の紹介になりますが、やはり上谷覚志さんの「例の記事」を紹介せずにはいられません。
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学校でも自らに厳しくすればかなりの程度まで通訳者としての能力を高められます。「学習環境の中での学習」は非常に有益で、教室でなければできない学習・教室ならではの収穫が多くあります。
いっぽう顧客の求めに応じて報酬を受けて通訳すると、教室ではわからなかったことを体験します。練習が本番になっただけではない。もっと本質的な違いを私は感じました。
教室・自習の強み:
- 自分に合わせて練習強度を設定できる
- 録音したり講師に聞いてもらうことで、その場で評価・課題設置ができる
- 実験ができる(訳出のスタイル・ノート等)
- 他の学習者を参考にできる
業務を通して身に付くもの:
- 顧客に価値を提供することが目的だ、ということを実感する
- 限られた時間・資料で現場に臨む準備
- 「今日のこの場は、つまり何だ?」を意識する習慣
- 涼しい顔で訳してこそ信頼を得られることがわかる
- なんといっても実力がすべてであることを思い知る
業務として通訳することで PDCAサイクル が確立していくように思います。