50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-05-24 両面から

専門用語と英語とのおはなし…

話されている内容がわかると通訳の質が上がり、場合によっては通訳者の負担も少なくなります。レイノルズ数やヤング率が話題になるのはどんなときか。ピエゾ効果やペルチェ効果って何か。VFDや熱電対って何か。3相交流だとなぜ検相が必要か。ショットピーニングや窒化処理が使われる場所は。マルテンサイトとオーステナイトって何の話? ねじの塑性域と弾性域って何だ。船舶になぜ脱硫装置が必要なのか。ガラスのフロート製法って何だ。(注1)

IRミーティングに出てくるバリュー投資やボトムアップって何だ。決算説明会で出てくる特別償却繰延税金資産、その居場所はBSなのかPLなのか。


通訳者は詳しく知っている必要はありませんが、
それって、おいしいの?
レベルではちょっと心配でしょうね。物のナマエなのか、ハタラキのことなのか、単位なのか程度はわかっているほうが頭の中が
「???」
にならなくて助かると思います。


そして、日本語を母語とする通訳者にとって最大の難関である英語力。これがないと上記の知識がまったく生きてこない。英語力と周辺知識とは
補完関係というよりは相互依存の関係
だなあ、と思います。文脈がわかるから用語の位置づけがわかるし、用語がどんなものかわかるから文脈が追える。どちらかが強ければ良いというものでもない。どちらも必要。なぜって、話者に成り代わって話すのですから…。


で、深刻なのは英語のほうですね。用語は嫌いでなければある程度詰め込みが可能です。それに誰でも何らかの強い分野を持っています(本人が気づいていなかったりしますが)。

  1. 目の前の書棚にある本から適当に拾った用語です。私が経験した通訳業務とは関係ありません。
  2. 技術関係の通訳で件数が多く専門性が高いとされるのがITと医療。情報が常に新しいものに置き換えられ、古い知識が使えなくなることも多いのが難しい理由でしょうか。医療に関する論文公開数は数年ごとに倍になっているとか(BBC World of Business)