2014-04-09 困難は分割せよ でも書きましたが、複数の難しいことを一度にしようとするとうまくいきません。
通訳訓練では
・英語運用能力
・通訳技能
この二つを同時に伸ばそうとするのは効率が良くないように思います。企業の会議や一般紙(NYT や WSJ)、一般誌(TIME や The Economist)、ニュース解説番組(60 Minutes)等を理解するのに苦労する人が大学教授や企業幹部、政治家の話を通訳するのは想像しがたい。このブログでたびたび
「通訳学校に行くなら『本科』や『通訳科』という名称のクラスから始めよう。『準備』・『入門』は遠回りかも」
と書いているのはそうした考えからです。
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通訳者が避けて通れないのが人前で話すこと。母語できちんと話したことのない人が通訳では突然みごとに話すことはないはずです。私の場合はトーストマスター活動で話す部分(delivery)をかなり練習していたのが役立ちました。トーストマスターとしてスピーチをするときには
「ah counter」
という係が不要な発音(あー、えー、等)を数えてくれます。初めてのスピーチでは ah count は 30 を越えました。そんなばかな、と思いました。自分では気づかないものなのですね。
こうした経験から通訳学校では「えー」といった不要な発音(filler)を発することはめったになくなり、とても助かっています。ちょっと懐かしくなったのでトーストマスターズクラブの初級ガイドブックの課題を見てみましょう。
© Toastmasters International
- The Ice Breaker
- Organize Your Speech
- Get to the Point
- How To Say It
- Your Body Speaks
- Vocal Variety
- Research Your Topic
- Get Comfortable with Visual Aids
- Persuade with Power
- Inspire Your Audience
とにかく人前に出て何か話そうという第1課から構成を考える2課、要旨を明確にする3課、表現を工夫する4課という展開に感心しました。さすが実利の国アメリカで始まった活動だけのことはありますね。